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「ふとした時に流れる涙は、あなたの優しさ」
君はそう言ったけれど、僕はそう思えなかった
女々しいと言われ続けて
男らしくと押し付けられて
辛さを吐き出せる場所もなく
痛みは溜まり続ける
「世界が丸いのは、隅で泣く人を無くすため」
誰がそう言っていたのか、僕はそれを吐き捨てた
くたびれた人を見ても
手を差し伸べる者はなく
暗い影も人には見えずに
無理に明るく振る舞う
もしも
幸せが行き渡るならば
苦しみをわけあえるなら
たった1度でいい
叫んではくれないか
怖がらなくていい
投げ出さずともいい
ただ一言だけ
「赦せる」と。




