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ふと、特別な景色ではないのに、泣きたくなる時がある。
日常の良さを感じてるのか
変わらない己を憂いているのか
できないことはたくさんある。できることは少ない。
時の流れの速さに置き去りにされ
そこに居続けることさえ赦されなくて
河岸を変えようにもそこに道はない
叩いて渡る石橋もない
友よ 仲間よ
疲れ果てたこの迷子を、支えてやってくれないか
すり減った精神を、癒せとは言わない。
道を示さなくてもいい。
ただ、世の中を吹きすさぶ風から
一瞬でいい
守ってやってくれないか
無理にとは言わない
ただそこに立って、風よけになってくれないか
ずっとなんて言わない
立ち上がれるまででいい
大事なものは二つとない
ひとつの胸に秘めたその宝
見つけ出してまた歩き出すまで




