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どうやったってできないことがある。
人の身で空は飛べない。
持てる重さには限りがある。
出せる速さには限りがある。
限界を決めてそこにドカッと座り込んでしまう。
「世界一にはなれないから」
「あの人には勝てないから」
そうすると、ちょっと楽になる。
でも、すぐに思う。
あの時もう少し粘っていたならば
あの時もう少し頑張れていたならば。
後悔の楔は深々と。
残る。
そして、できないことに挑む者を、笑うようになる。
蔑むようになる。
そして、何もしてこなかった自分を、正当化しようとする。
あれは無理だった、見限ってこうしたから今生きていける
そう納得しようとする。
そうこうする間に、さっきまで苦しみ抜いて、
はるか後方にいたはずの、挑み続けるものに
抜かれていることに気づく。いや、気づかないものもいる。
抜かれて初めて、もっと打ち込んでいたらああなっていたのかもしれないと思う。
泥臭く、打ちのめされながら、一歩ずつ。
半歩でもいいから、目標に向かって歩いていたら
もしかして
そう思った時には、もう遅い。していればよかった。やめなければよかった。
過去に縛られるあまり、未来が見えなくなる。
遅すぎることなんてなくても、挑むことそのものを忘れていく。
私が最後に、挑んだ時はいつだっただろうか。
これから先に挑むことは、できるのだろうか。




