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鬱ったら書く。  作者: ナナオ
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真面目に書くということに対して、テレを覚えてしまう僕。


恥を忍んでというと言葉が違うのだろうが、恥ずかしいのをこらえながら、ここに一つ、書いていきたいと思う。



これは僕の遺言状のようなものだ。


多分、多くの医者や科学者に見てもらっても、すぐに死ぬ男だとは思われないだろう。

でも、病気で死ぬ、事故で死ぬ、災害で死ぬ・・・


いつ死ぬかわからないからこそ、いつ死んでもいいように、書き残しておきたい。


実際に書いたところで、知り合いに見せるかは話が違うわけで、それを言うのならば遺言状というよりは書き残し、書置きであるわけだが、まあ細かいことはきにすんな。


もし、仮に親よりも先に死ぬようなことがあったら、と思うけれども、最初に書いておきたいのは、そんなことがあったときのことだ。



まず、普段は伝えられない感謝を。


最初に、両親。生んでくれてありがとう。

こんな人生、憎んだこともあったけど、なんだかんだで楽しかったよ。

何度か、死にたいと思ったこともあった。

本気で、階段から転げ落ちようと思ったこともある。

でも、生きてきていて良かったと

命がつながっていて良かったと


心配をかけてかけて、かけまくりました。

でも、子どもってそうでしょ?

だから、僕のことを忘れるくらいに、その心配を、その失敗を

笑い飛ばしてください。




もっと、自分は生きていたいんだとはっきり思った。



次に、兄弟、姉妹。

お兄さんがいたらと何度思ったことかわからないけれど、

いろいろ大雑把で、人前では完璧にも見えるような姉。

いろいろあったとき、心配してくれていたことを聞いて、ありがたかった。

姉がいてよかったと思った。


そして、妹。

毒舌で、ぼそっと遠慮なく心をえぐられ、何度挫けそうになったか。

それは多分ずっと憎むけれど(おい)

ひたすら努力家な妹は、僕から見ても誇らしかった。

妹でいてくれて、ありがとう。



友達。

小学校からの友達は段々減って、それでもずっと友達ていてくれた君。

いやなこともたくさんしました。ごめんなさい。

それでもずっと友達でいてくれて、ありがとう。

一緒に遊びに行ったり、家にお邪魔したり…

いろいろあったけど、君と一緒なら何でも楽しく感じたよ。


中学になってからの友達。

いっぱい喧嘩しました。でも、多分お互い、遠慮しなくていいと思っていたからなんだろうな、と思い返すとむずかゆいです。

しょっちゅう外に連れ出されましたが、とても楽しかったし、面白いこともたくさんあった。

ありがとう。


いつも物静かで、ボソッとくだらないダジャレをぶっこんで来る君。

僕は笑いの沸点が低いから、すーぐに笑ってしまったけれど。

何かあったときに、仲立ちをしてくれていた。

多分僕の中では、一番の緩衝材だったんだと思う。

時折、「死にたい!」といい笑顔で言っていたのはよくわからなかったし、ちょっと不安になったけれど。

とりあえず自殺だけしないでいてくれればそれでいいです。

ありがとう。


そして、今はたった一人の、甥っ子。

今死んだら多分ほとんど覚えられていないだろうけど。

君がいるから僕は結婚しないでいいかななんて思ったりした。

いいことか悪いことかはわからないけれど。

それはそれとして、君を見ているだけで、君の将来がとても楽しみでした。

それが見届けられないのは残念だけど

君の両親は、多分いい親だと思う。

僕から見て「?」と思うことがないわけじゃないけど

でも、いい親だと思う。

お父さんとお母さんを、大事にしてあげてください。



最後に、お世話になった数多くの人たち。

小学校から大学の先生方。

児童館の先生。


いざ思い返してみると、あまり人数はいないように思うほど、お世話になったことを忘れている人も多いけれど。


ありがとうございました。







書き忘れがあったので、つけたしという形になってしまうのだが。

あと2人、いや2つ以上ではあるのだが、

一つ目。ここまでついてきてくれた僕の体にありがとう。

何度か、「僕はここで死ぬんじゃないか」と思ったことがある。

それでも、ここで死ぬまで僕の体は生きていた。

そのキセキにありがとう。ゆっくり休んでください。


二つ目。これまで僕が食べてきたすべての食べ物、飲み物。

たまに戻してしまったり、おっことして捨ててしまったものもあります。本当にごめんなさい。

僕の体になってくれて、ありがとう、と一方的に感謝を押し付けます。

君たちに感情があるとするならば、そんなこと言わずに生かしておいてくれたらよかったと不満だらけだろう。それでも、僕は無理やり感謝を押し付ける。ありがとう。


いざ書き出してみると、いくら書いても足りないということに気が付いたので、このくらいにしておく。謝罪の言葉はいくら言っても足りないと思う。それと同じくらいの、感謝を。


僕を生かして、僕を作ったすべてに―――――――――


ありがとうを。

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