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目が覚めた。
空、宙、ソラ。
引力に逆らって
空にしがみつく
雲、くも、クモ。
照り付ける太陽のまぶしさに
勝手に後ろ暗くなって
全てを捨てて、飛び上がった。
ただ上昇気流にまたがって
ゆらゆらとんでいく。
雷鳴。
避けられず黒雲に突っ込む。
つめたい雨の子どもが、ほほを叩きつける。
もっと
もっと
もっと
抗えと
訴えるようで
耐えられず下に逃げようとする。
堕ちる。
慌てて手を振り回す。
支えてくれた風は
そっぽを向いた。
「生きたい」
叫ぶと、行ってしまった風が、戻ってきた。
ゆれていたものが、立ち上がった気がした。
もっと
もっと
もっと
上へ。