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いざ、初心に帰らんと欲せども、
一度知ったものを無に帰すことは難しい。
一度忘れたものを思い出すことは難しい。
それでも人は言う。「初心、忘るべからず」
そのためにはどうしたらよかったのだろう。
常日頃から考えることは、常日頃考える。
忘れていても、そのことを考える。
覚えていたら、より一層考える。
なぜ考えていたかを忘れたところで、
めぐる思案は止まらず・・・
ただひたすらに、思い続ける。
恋なのか、羨みなのか、憧れなのか。
わからぬままにただ思う。
うすぼんやりと思い出される初心は、初めてのころとは変質してしまって
復元できなくなっている。
何をやっていても、原点に回帰することの重要性は、だれもが理解している。
完全に同じ場所に、帰ってこれなくても。
一度旗を立てた場所は、旗が折れても。
布がちぎれても。
旗竿が、なくなっても。
穏やかな暖かさをもって、そこに残っている。




