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かつて。
圧倒的兵力差に怯まず
敵をただ憎悪の対象として
ただひたすらに突撃した国があった。
止める者はいなかった
声をあげた者はすべて捕らえられ、前線に送られた
敵軍は鬼畜であり、男は拷問の末殺されると
女は凌辱の限りを尽くされると
上層部の言葉をうのみにして
あるいは信じるふりをして
ただひたすら
死に向かって行進を続けた
捕まるくらいならと毒を飲んだ
安全ピンを抜いた
上層部は明らかな不利を
ひたすら隠し続けた
「敵戦艦〇隻撃沈!わが軍被害なし」
現実は非情だ
艦は沈められた
国は焼かれた
そんな国の
そんな国民の
子孫である我らは
二度とあの暗い時代を
すべて失うことを
招いてはならない
かつて。
圧倒的な力を持ち
金のために戦を始めようとした国があった。
国民は戦を止めようとした。
しかし。
謀略。
戦は始まった。
民は死んだ。
吹っ掛けられたと嘯き
正義の名のもとに
敵国を叩き潰さんとした。
参戦した者たちは
大きな傷を負った。
終わってみれば圧勝だった。
しかし。
我々はもう二度と
戦争を引き起こしてはならない。
未だに残る傷跡を目に焼き付けて
我々は、絶対に
もう、二度と
戦争を始めようとしてはならない。
この終戦の日に、私は声をあげたい。
二度と、この国が戦争を始めないように。
戦争に巻き込まれないように。
終戦の日になったので書きたいと思いました。




