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年を重ねるごとに
持っていた翼は力を失う
空が飛べなくなった青年たち
駆け回る少年の眩しさに焼かれた壮年たち
重くのしかかる「現実」がすべてを奪ったように見えた
「それは違う」
少年は言った
「空が飛べなくなったのは」
その言葉には
「飛べると信じられなくなったんじゃない?」
響くものがあった
「絶対できない」「無理」
諦観に縛られた僕たちに見えなくなった「リアル」
ホントに現実は「現実」なのか
ただ諦めて
ただ「常識」にして
奪われた”はずの”翼は、ずっとそこにあって
くすんで汚れてしまっていたけれど
もう一度
もう一度僕らは空を飛びたい
眩しかった過去を取り戻して
もう一度、自由を謳歌したい
何もかも忘れて
ただ、走った。
「きっと、飛べる」
そう、誰でも。誰とでも。




