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令嬢遊戯 アーサー視点

作者: 睡蓮

令嬢遊戯思っていた以上に反響があり

評価・ブックマークありがとうございます(´・ω・`)

拙い文章ですが楽しんで頂ければ嬉しいです

「なんだと?」

その日、レイモンドと一緒に来たフォーブス伯爵令嬢の言葉に俺は喜びを隠すのに必死だった


「それは……本当なのか?」

いや、まだ喜ぶのは早い

それが有り得ないことは俺が一番よく知ってる


「は……はい。私も最初は信じられなかったのですが…」


辛そうな顔をしながらも伝えようとしてくる少女


「そう……か…。嫉妬してそのようなことをしたと?」

本当に?嫉妬をしてくれたというのか?

だが、この少女……


チラりと目に涙を浮かべている少女を見た

「はい。私が仲良くしているのを見てなのだと…」


…嘘だというのはわかっている

まぁ、可憐で庇護欲を唆るような少女に上目遣いで泣かれたら大抵の男は騙されるんだろうけどな


「それが本当ならば…」

嘘だとわかっている…わかってはいるが、もしかしたら…万が一いや、億が一の可能性がなくはないかもしれない


その僅かにも満たない希望のために愛しいカミーリアの元へ急ぐことにした

レイモンドがなんとも言えない顔をしていたのは見なかったことにする





◇◇◇◇


走って行きたい気持ちを抑え、カミーリアがいるだろうカフェテラスへと向う

ああ…俺のカミーリア

政略結婚のためにまだ小さい頃に婚約者となった彼女


貴族も恋愛結婚はできるが侯爵家以上となると血筋を守るために決められた婚約者と結婚することになる

侯爵家に生まれた以上、当然のように俺にも婚約者が紹介された

そこに俺や彼女の気持ちは関係ない

だから俺は婚約者として大切にしながら、色々な女性と浮名を流していた


あの頃の俺は何も見えていなかったな…

カミーリアは初めて会ったときから白銀の煌めく髪と目の覚めるような美しい顔、そしてキツそうな目元が印象的な女性だった


俺の好みは小さくて可愛い女の子だったこともあり、婚約者と恋をすることはないだろうと思っていた


いつから気持ちが変わったのか今でもわからない

本当に気づいたらカミーリアの全てに惹かれていた

他の女の子のように宝石やドレスをねだることもなく

どんなに綺麗な花を送っても心から喜ぶこともなく

俺に興味がないのかと思えばそうでもなく


いつしか何をすればカミーリアが喜ぶのかをいつも考えるようになり、その頃から俺の心の中はカミーリアで埋め尽くされた


天然悪女なのか計算された悪女なのか…悩むところだな

カミーリアをよく知らない人は計算高い悪女だという


まぁ俺としてはどちらもカミーリアだから構わないと思っているけど、あれは天然と計算の両方な気がするんだよな


リアは自分自身をよく分かっている

だけど分かっているもの以上のだとはわかってない


リアはよく「私はわがままじゃない」と言う

たしかに宝石やドレスをねだることはないけど、それだけがわがままとは限らない

きっとリアは気づいていない

周りが思っているわがままとも違う


俺だけが知ってる

わがままで傲慢で優しいリア…

俺だけが知っていればいい


リア、君はこんな俺の気持ちも知っていて知らないふりをしているんだろう?

俺の全てがリアに塗り替えられたのにそれを心地良いと思うのだからどうしようもない


口元が緩みそうになるのをなんとか耐えながらカフェテラスの入り口へ着くと奥のテーブルにリアを見つけた



「カミーリア」


「まぁ、アーサー様ごきげんよう。どうかなさったの?」

落ち着いた声色でゆっくりと話すリアは今日も可愛いな

今すぐ抱きしめて…いや、腕に閉じ込めてリアを堪能したい…


「友人達とお茶をしているときにすまない」

そんな気持ちを出すわけにもいかず、暴走しそうになる自身を押さえつけながら言った


「構いませんわ。そちらの方はどなた?」

リアが俺の後ろにいる少女を見た

すると怖がる素振りで俺の腕に手を伸ばしてきた


そういえばこの少女のことで来たんだったな

「ああ…彼女はフォーブス伯爵の令嬢でアンジェリークという。それでカミーリア、君に聞きたいことがある」


俺は言いながら不愉快な手を腕から外した


「なんでしょう?」


「君はフォーブス伯爵令嬢に嫉妬から悪質な嫌がらせや噂を流していると彼女から聞いた。もしそれが本当なら……私は…」


嬉しさで緩んでしまいそうになる顔と声を表に出さないよう顔に力をいれ、硬い声を出した


「私が?そこの令嬢を知ったのも今日が初めてだったと思うのだけれど?」


……うん、わかってた…


「そんな…!あんなひどいことをしているのにあんまりです」


いや、むしろひどいのはお前だろう

というより、俺が1ミクロンにも満たない希望に縋ってここまで来ただけであって本来ならそんなこと言える立場じゃないのをわかってないのか?


「レイモンド、なんでこの令嬢はここまで嘘を言えるんだ?」


何やら言い合っているカミーリアとフォーブス伯爵令嬢に聞こえないように小さな声で言った


「お前な…お前の態度のせいで増長したんだと思うんだが?」


「俺が?何もしてないだろ」


「お前、もう少しカミーリア以外にも気を使えよ」


無理だな

リア以外に使う気は微塵もない

ふと、視線を感じたほうを見るとリアがこちらを見ていた


んん?話は終わったのか?

そんな雰囲気でもないな

まぁいいか。俺の目的を果たそう


「カミーリア…本当に、嫉妬からそんなことをしたの?」

むしろしてくれ…!


どうしたらリアが俺でいっぱいになるのか…

嫉妬でもしてくれたならその間は俺のことだけを考えているだろう

幼稚な考えなのは分かってるけど、そんなことでもいいからリアを独占したい


「もし、私がしたと言ったらどうしますの?」


それが本当なら……


「アーサー様の本当の気持ちを伝えて下さい」


「嫉妬からそんなことをしたのなら………こんなに嬉しいことはないよ」


独占したい気持ちは言わない

言わなくても分かってるだろうけど、まぁ…少しはカッコつけたいしね


「え?あの…アーサー様?悪質な嫌がらせをしていたのですよ?なぜ…」


なぜって何を言ってるんだ?

リアが俺を想って嫉妬して、俺のことだけで心の中がいっぱいになって…考えただけでも嬉しいね


まぁもちろん、嫉妬より幸せでいっぱいにしたいけど愛する人からの嫉妬もされてみたい


「おかしいですよ!ひどいことをする女性ってことなんですよ?それが婚約者でいいんですか?」


いいも何もリア以外の婚約者なんていらないよ

可愛い子がタイプだった俺の今の好みはリアなくらいなんだからね


「アーサー様」


「ん?なんだい?」


「私、嫉妬から嫌がらせをしたとは一言も言ってませんわよ?」


…………リア…いい笑顔だな…

うん…リアが楽しそうにしてるならいいか…


「そうだった…確かに言ってないね。そうだよね、カミーリアが嫉妬なんてするはずがなかったね…」

でも少しくらいしてくれてもいいんだよ?

誤解されるようなことは絶対にしないけど


「でも、少し嫉妬したりは…」


「ありませんわ」


まったく…なんて可愛い人なんだろうな

嫉妬をするのはリアの矜恃に反する

だからって何も思わないわけじゃないのに…

まぁ今この場合は本当に何も思ってないんだろうし、どんなときでも自信のあるままでいるんだろう


周りの望む…そしてリア自身の望む理想の通りに……


「私がアーサー様を奪っても構わないわよねぇ?だって嫉妬する程の愛情がないんだもの」


俺がリアを愛おしく思ってる間になにやら会話が進んでいた


「愛情が……ない…」

そんなことない自信はあるが、それが誰であれ言葉にされるとさすがの俺も落ち込むぞ


「そのときは私に魅力がなかっただけのことですわ。ねぇ?アーサー?」

少し落ち込んでいる俺にリアは含みのある声で言ってきた


「…っ!」

ああ、やっぱりリアは綺麗だな

その自信もその中に含まれる僅かな悲しみも…

俺がいなくても変わりなく過ごせるようでいて俺が居なくなることを嫌ってる


それがわかるから、俺はリアから離れられない

そしてそんな俺を知ってるからリアはリアらしくいられる


本当、わがままだよな

俺に選択権があるように見えて俺には選択肢すら与えてくれないんだから


「カミーリア…俺が離れていったら…」


「アーサーが私から離れることはありませんわ」


「リア…!」

傲慢でわがままで俺の愛情を真っ直ぐ信じて…

なんて強いんだろう


「リア…愛しているよリア。俺が離れてしまえばきっと君は追ってきたりはしないんだろうね」

だけど、そうなってしまえばリアは甘えることができなくなってしまう

誰よりも強く在ろうとしているから


「だからこそ、俺はリアから離れられない。リアから愛を貰えなくなるなんて考えたくもないよ」

俺だけがリアを甘えさせることのできる唯一だから…

それに気づいたとき俺はすでに囚われてた

この唯一を手放したくない

リア、君が気づいていないときでも君が望むままに甘えさせてあげるよ

素直に甘えられない君が俺のわがままに付き合って甘やかされる

そんなささやかで幸せな毎日を過ごそう


本当に君は悪女だよ…リア


伝えられない想いが伝わるように座っているリアを後ろから抱きしめ頬に口付けた


俺の愛情が少しでも伝わるように……

ありがとうございました(´・ω・`)

関係ないことだけど

紅茶ばかり飲んでてお腹タプタプにならないのだろうか

(´・ω・`)

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