【思考停止の少女】
「っ――――は―――――ぁ、っ―――――!」
大量の破壊魔を裁き、少し経ち、怒りが治まりつつあったリリエスの姿が、紅い月の光に照らされて、
影が地面に映る。
沈黙に包まれた中、足音が彼女の耳に聞こえてくる。
「…虚しいね」
振り返ると、彼女にとっては――――懐かしき、人間が居た。
何故此処に、というように、彼女は驚いた顔をした。
「久し振りだね、リリエス。どう、破壊から抜け出してからの生活は」
久々に会うのだろう。懐かしき人間は、そんな風に言葉を発す。
そして、彼女は。
「―――なん、で―――」
――――よっぽど衝撃だったのだろう。彼女―――リリエスの思考は、完全に停止しているようである。
「…そんなに驚くことかい。君のこと、全て僕らの先祖様から聞いたよ。そんなことがあったなんてねぇ。
先祖様も全てを奪われた僕に同情してくれた。優しいよね、ほんとにさ。」
「…??…????…???????」
リリエスの顔は哀しみのような困惑に染められて、何も言うことができなくて、口をパクパクさせている。
「…、さ、… ……… …ま… ……………さ、ま」
「…何だい。リリエス。」
「…あ、…、.…、あ、…全て…奪われ、た、て、ど…、 …、う、ゆ…こ…」
「――――言葉の通りの意味さ。分かるだろう、良い子の君なら」
「…信、、…じ、た…っ、ない」
驚きと困惑で言葉を上手く発することのできないリリエスに、彼は笑ってみせた。
そう、彼女が昔から見たという、いつもどおりの――――
笑顔、を。
「――――そうだよ。僕は君が察する通り、僕は母親に殺された。奪われた。
…奪われた奪われた奪われた奪われた奪われた奪われた奪われた。奪われた――。奪われたんだ。」
「…い、や、ぁ。…イ、や………、。、だ」
―――そして、彼女は彼の名を呼ぶ。
「…、…、、。
お兄、様」
「…リリエス。僕の、妹。」
―――そう言うと、彼はリリエスを抱き締めた。強く、強く――――。
それでも、彼女の思考は、止まったままである。