【咲き誇るその破壊、厄介モノ】
「――――リリエス――さん――は、破壊された者なんですか」
それは仮の避難場所を探しリリエスと共に歩いていた四人の中で、口を開いたのは、珍しくルトだった。
他のメンバーも、どうなんだろう、という顔をしている。
「…はい
詳しいことは言えませんが、破壊されていた人間の1人です」
「へぇ…そうなんっすね。事情は違えど、みんな破壊を受けている人間っすからね!」
「そうだな。…御前らとは違う、と仲間割れしてる場合じゃないみたいだし」
「うん、うん。喧嘩しちゃったら、破壊が増える可能性もあるし」
その時だった。
「『ヒィィィィィッギャァァァァァァァァ!! ヒィィィィィギャァァァァァヒィィィィィヒィィィィィヒィィィィィヒィィィィィギャァァァァァヒィィィィィヒィィィィィ――!!』」
「破壊、魔――――!! あれ、は――――」
「私、の――――お母さん――――」
「…認めナイトメアのようですね――――
こいつはかなりしつこいですから、隠れていてください」
「はっ、はい… … っす…」
リリエスは破壊魔に向かって攻撃を放ち、血飛沫が空を舞う。
破壊魔の心の血である。
だが、いくらリリエスでも、四大最強破壊魔の中でも最凶と云われる破壊魔。
簡単には破壊出来ないのである。
「――――っ――――」
「花、華――――――。大丈、夫… … … ?」
「霜扇先輩 … 」
「…っ… … …。 …うんっ! 大丈夫。
それにしても、ナイトメア、か――」
「俺達が闘う事が出来ない以上、リリエスに任せるしないだろう…
…そういや前の失踪事件、知っているか」
「あ…ストレスが溜まっていた子供や精神病の大人が一夜の夜に多く失踪して、戻ってきた後には奴隷のように虚ろな眼をしていて、人格が良く為って逆に変わってしまったようになる…ってやつっすか?」
「ああ。あれも破壊魔が関係しているらしい。先月に皆元に戻っていったようだが、
よく調べると失踪者は狂い者というものになっていたらし――――」
その瞬間、ドカァァンと音が鳴り、破壊魔は叫びながら逃げていった。
「は、はぁ……び、びっくりしたー。逃げていったの――かな――?」
「そう、みたいだね…花華」
「ふぅ、とりあえず良かったっすね…」
そして、リリエスが四人に走り寄り、口を開いた。
「一件落着――――認めナイトメアは逃げていったようです。
さ、もう少しで避難場所ですから…破壊魔に会う前に、早く行きましょう」
「…はい」
ルトは杓之の喋っていたことを気にしながらも、頷いた。
――――咲き誇る破壊は、厄介である。