【見知らぬ不気味な街】
「―――?―――ここ―――は――――」
ルトは、気づけば見知らぬ不気味な街に居た。
生臭い血の匂いが地に憑き、周りには紅黒い霧がかかっている。人はいないが、何か恐いざわめきを感じて、
なんだか少し恐くなる。ルトはすぐ夢の中だと気付いた。
―――そう、夢なのだ。夢のはずなのだ。
「きゃあああああっ!!」
そして、霧の向こう側から苦しい悲鳴が聞こえてきた。
―――その霧からこちら側に来たのは、よく見慣れた、友人二人の姿だった。
「――花華、徠悠慈さん―――!?」
「ルトっ!!」
「篠式先輩…!! ここ、夢っすよね…? 俺達、四匹の化け物みたいなのに追いかけられてて―――っ!」
「嘘…もう一匹追いかけに来てる―――!!?
ルト、逃げよう。」
「う、う…?」
「どうしたの、ルト。早く逃げよう!!」
「うん…っ」
ルトが戸惑ったのには、理由があった。
―――そう、五匹目の化け物のようなものに、見覚えがあったのだ。
「…お母さん……お父さん……? まさ、か……」
「…? 篠式先輩、どうしたんすかっ」
「い、いや、なんでも―――っ」
「っ――!! ルト、カイト、あっちからも―――!!」
向かいから来る化け物のようなものに追いかけられていたのは、ある少年―――硯杓之だった。
「っ――――何故、追いかけくるんだっ…!!」
「衝突しちゃう――っ」
――その時だった。あの少女が現れたのは。