6話
「すみません、失礼します」
「あ、もうきてくれたの?さっきはありがとう、おかげで主人もよくなったわ!これも全部あなたのおかげよ!」
私を見るなりすぐに手を取ってブンブンと振り回す彼女。どうやら私の考えすぎだったようですね……
では一体誰が……
そこで私はあることに気がつきます。
「すみません、そのお花はどこで?」
「ああこれ?なんか主人の知り合いだって言う人が持ってきたのよ。綺麗でしょ?」
「………」
私はその花に手をかざして《解析魔法》を使った。
数秒して私の中にこの花の情報が流れ込んでくる。
・凛花
見た目はとても美しく、そして凛としており、この世のものとは思えないほどだが。見た目に反してとても強力な毒性を持っている。この花が蒸散や光合成を行うと中の毒素が放出される。遅効性のため効果が現れるのは遅いが常時摂取していると毒の周りが早くなり非常に危険。効果は大体1ヶ月後に現れるため対処が難しい。特効薬は見つかっていなかったがエリクサーが有効と賢者によって判明した。
………大変ですねこれは。どうやって処分するべきなんでしょうか……下手に燃やしたりでもすれば大量の毒素が散らかるでしょうし。
「このお花……とりあえず回収させていただきますね。それとあなたもこれを飲んでおいてください」
考えた末に私は花をカバンの中にしまい、女性にもエリクサーを渡した。これで一応依頼は達成した……でもこの花を調べないとまた被害が出てしまう。
私は女性に「失礼します」とだけ告げ、その家から飛び出した。
私がまず向かったのはギルド。
「こんばんは、依頼の達成とギルドマスターの面会許可をください」
「了解しました。しばらくおかけになってお待ちください」
「なるべく急いでください。急を要しますから」
「は、はいっ!!」
私が若干声を低くして言うと受付の人は怯えるようにして奥の方へ走っていった。なんか悪いことをした気分なんですけど……
しばらくすると奥からギルドマスターが面倒くさそうに出てきた。
「それで、今回は一体なんのようだ?嬢ちゃん」
「この花です……これは今日薬草採取の依頼で伺った人の家に飾られていたものです」
「ほう……綺麗な花だな。だが、お前さんがこの花を紹介するためだけに来たわけじゃないよな?」
ギルドマスターの周りの空気が一気に圧力を持った。
流石にこの人もこの花が曰く付きだとわかっているみたいだ。
何割かは私が持って来たからだろうけど……