2話
提出しかけた依頼用紙を
火龍&採取→『適当に3つ』に変更しました。
「ふんふふ〜ん♪」
私は軽くスキップをしながらある場所に向かう。
しばらくして着いたのは三階建の大きな建物。ここはギルドと呼ばれる場所です。ギルドとは………まぁ、みなさんが予想しているような場所で大体合ってますね。簡単に言えば依頼を出し、それを冒険者たちに受けさせているところです。依頼の内容は様々で魔獣の討伐だったり、農家の手伝いだったり。偶にですけどラブレターの代筆なんかもあります。まぁ冒険者のほとんどが字も書けないような人ばかりであまり意味はないんですけど……
それはさておき、今日私がここにきたのは依頼を見るためでもありますが、本題はこのお金です。流石に金貨27枚をそのまま持つわけにはいきませんから。
ギルドは依頼を出す以外に銀行の役割もあります。
私は普通の人ならば力一杯押してやっと開く扉を片手で軽く開き、中に入っていきます。そしてまずは受付に行きます。
「おはようございます」
「お、おはようございます……こんな子供があの扉をいともたやすく……なんで………?」
「ただの《強化魔法》ですよ」
ちょっぴり私が手を加えて、通常の何倍もの効果を発揮しているだけです。それ以外は何もありません。要はチートってやつです。
私は金貨の入った袋を出して預け先を言う。
「それよりもこれお願いします。預け先は『シャルロット・アストレア』です」
「『シャルロット・アストレア』………っ!?賢者様の金庫にこんな子供が!?」
そりゃまぁ本人ですから……ていうかそこはあんまり関係ないでしょ。そういえばこの人のこと初めて見た……新人さんか派遣されてきた人かな?
そう思ってたら隣の受付の人がこっちにきて、頭を下げた。
「この子、まだこっちにきたばかりで何も知らないんですよ。だから許してあげてください。手続きは私がやりますから」
「あ、はい。よろしくお願いします」
私は隣の人に袋を渡して依頼板のところに行く。依頼板の前には人だかりができるが、私を見るなり全員が依頼板の前から退く。
「お、おはようございます!今日もお元気そうで何よりです!」
「おはようございます。私に構わず見てもいいんですよ?」
「そ、そんな恐れ多いこと!!」
1人の冒険者がそんなことを言うと他の冒険者たちも首を縦に振る。私は「それなら……」と依頼板を見上げる。うーん……どれにしようか迷いますね。
この中で難易度が高いのはこの2つ……
討伐依頼
・火龍の討伐もしくは生け捕り。
報酬
・討伐の場合、金貨10枚。生け捕り金貨15枚。
採取依頼
・イザナミ草×10、イザナギ草×10、ツクヨミ草×10。
報酬
・金貨10枚
どちらも《魔の森》と呼ばれる森にいるため、難易度が高い。うーん…………
私が悩んでいると扉が乱暴に開かれる音がしてそちらを向く。へぇ………あの扉を乱暴に開けるの……どんな人だろ?私は賢者。好奇心のままにそちらへ向かった。
「へぇ……ここがこの領地最大のギルドか……大したことないな!!」
あ、もういいや。私は入ってきた男たちを見て即座に興味を失った。
おそらく、先頭にいる男が扉を開けたのだろう。だが、強化魔法を何重にもかけてあれなら大したことない。私は依頼板の前に戻り、目の前にあった依頼用紙を適当に3つ取り、受付に向かう。
「すみません。これ、受けたいんですけど」
「少々お待ちくださーー「ガッハッハ!ここはこんなガキが来ていい場所じゃねぇよ。ほら、さっさと帰ってママのおっぱいでも吸ってな!」
私が受付の人に依頼用紙を渡す前に先ほどの男たちがそれを奪い、私を見るなり嘲笑った。