一番かわいい
「で、どういう関係?」
話が終わってしばらく私が立ち上がる気もなくしていると、友人から連絡が来て合流することになった。が、しない方が良かった
「・・・・知らない人です」
「んなわけ無いでしょうが」
「知らない人です。」
「あんたは和服着た知らないに話しかけられて、そのままどこかに行くような子だったのかい? 私は悲しいよ」
うぐっ。それを言われると確かに苦しいところではある
「いや、そうじゃないけどさー」
「じゃあ!なになに?なんなの?なになに?」
「生駒うるさい」
生駒の口にガムテープが貼られたバッテン付きで。
橿原がどこから持ってきたか分からないが生駒はムームー言ってる
かわいいな、コイツ
しばらく生駒はムームー言ってたが諦めてスマホをポチポチし始めた。猫か
「で?」
「言いたくない」
「・・・・どうしても?」
「・・・・・・・・生駒の乳を10分もんで良いなら話しても良い」
私は交換条件を橿原に提示しながら生駒の胸に目を向ける
うん、安定安心のデカさだ
「まあ、それくらいなら」
橿原からのまさかの許可
「え? マジで?」
私が橿原から頂いた許可を行使し恐る恐る生駒の胸に手を出そうとすると、私のスケベジジイ丸出しの顔にさすがの生駒も身の危険を感じたのか急いでガムテープを外して拒否してきた。
「いやいやいやいや、ダメだよ!貧乳がうつる」
「誰が貧乳じゃワレこら」
「やだ、怖いこの人。」
生駒は自分の体を守るように腕を組ながら1拍おいて
「それにさー、かしはらもさあ、別に口割らせなくてもいいじゃん」
お、しばこうかと思ったけど生駒のフォローが目に染みる。お前いいヤツだな
「さっきググったら出てきたし」
敵かお前、お前は本当にそういうヤツだよな!!
「お、マジか」
「やめてぇ、見ないで橿原! てめぇ生駒ぜってえ後でぼてくりこかす」
「悪口のレパートリーが九州方言まで広がってるとか引く」
私の抵抗もむなしく、生駒のスマホが橿原の手にわたった
「なになに? 関西の鬼才 畝傍彩葉10歳?
アマ6段屑殺?」
「あああああああああああああああ」
ついにバレてしまった、頭を抱える。
その記事をまじまじと確認する橿原、よこでニシニシと笑う生駒。コイツだけはマジで許さない
「なるほどねぇ。いろはちゃん10歳。この子あんたと似てるよね」
「そんなに似てません。」
「『勝てて嬉しいです。まさかここまでやれるとは思っていませんでした。』そういって10歳の女の子は嬉しそうに笑った。ねぇ」
「性格悪いなその子」
どこまでも往生際の悪い私に橿原はため息一つついて詰めてくる
「・・・・・あんた大体ね、畝傍なんて名字がそもそも珍しい上に中学からこっちでそれまで関西だったよね? 歳も名前も顔も出身地もドンピシャで言い逃れは無理じゃない?」
「いやいや、何言ってるのかマジでわかんないっす」
「ねえねえ、彩葉! この石のならび綺麗だね!!」
「まあね、会心の一局だったからね・・・・あ。」
得てして局がキレイと言われると碁打ちは喜ぶのだ。
橿原とは別視点で飛び込んできた生駒の言葉に私はつい喜んでしまったのだった。
生駒の癖に何頭使ってんだ
「なーるほど会心の一局ねぇ」
「何とか言ったらどうなんだい!お嬢さん!」
うるせえよバカ野郎。自分の頭の悪さにほとほと嫌気が差してくるが
しかし、ここまでくるともう言い逃れは不可能だ、私は腹をくくった
「くそう。確かに私はその昔関西囲碁界において天才と呼ばれて少女や!なんか文句あるけ?!」
「おー、関西弁」
「やんややんや」
「で、本因坊さんは?」
「あいつは、私が転校する日に告白してきよったアホやアホ。で、その二年後、ヤツに囲碁でめっためたにされてやる気失せてやめたんじゃ!なんでこんなことカミングアウトせなあかんねん」
「いやー、今のあんた最高にかわいいわ」
「わかる!今までで一番好きな彩葉だ!!」
うるせえやいバカ野郎