お金大事
「それじゃあ今日はありがとうございました」
「うん、ボクも久々に楽しかったよ」
「おいおい、俺らじゃ楽しくないってか?」
「そうは言ってないけどねぇ」
高の原さんはカラカラと笑いながら答えた。
「じゃあ、ありがとうございました」
私が頭を下げ帰ろうとしたとき
「ねえ彩葉ちゃん」
最後辺りから高の原さんは私のことをこう呼ぶようになった
「はい」
「大久保君から大体話は聞いたけどね。君ほんとうに彼と戦うの?」
大久保め、いらんことを言いやがって。息を吐いてしゃべる
「少なくとも私はそのつもりです」
高の原さんが私の目をじっとみた。すると満足したように頷き
「うん、いいね。気に入った。君これからも来なさいよ。席料はいいよ、君くらい強くて美人ならそこに座ってるおっさん達も喜ぶし」
「え、けど。」
「この人たち結構強いよ?」
・・・・・・とてつもなく魅力的な誘いだ。だって席料かからずアマ名人もいて、うまいおっさんが沢山、けどお金払わないのは
「よろしくおねがいします。」なんて考えたのはほんの一瞬でした。
なんてったって私はエゴイストだ。取り入れる事が出来るものは全部かっさらっていく。
「高の原さん。ついでにそこに隠れてる大久保連れて帰ってもいいですか?」
「うっ!」
奥から悲鳴に似た何かが聞こえてきた。高の原さんは楽しそうに笑いながら答えてくれる。
「ああ、別に構わんよ」
「おら、出てこいデコスケ」
「畝傍、お前話が進むにつれてどんどん口悪くなってない?」
「もともとこんなのだったよ。ほら帰る用意はよして」
大久保さんがとぼとぼと高の原さんをうらめしそうに見ながら鞄を持ってきた。
「じゃあね。」
「はい!ありがとうございました。今後もお世話になると思います。」
私と大久保さんは、揃って表に出る。私が歩き出すと
「じゃあ、畝傍。おれこっちだから」
そういって大久保さんがくるっと転回した。
「は?」
「いや、」
「は?」
「だって」
「は?」
「駅がさ」
「いらんねん」
「はい 」