おしとやか?
「けど、やっぱ新作も食べたくない?」
「わかる! いちごのヤツだよね。見た目だけで美味しそう」
「今日帰りに駅前寄ってく?ついでにちょっと本屋にも行きたい」
私は友達の橿原と話していた。喋り方から誰だコイツ?と思った皆さん安心してほしい。私だ。
関西から引っ越した私は思いの外あっさりと囲碁をやめて普通の女子高生を謳歌していた。
どぎつい関西弁も、なりを潜め今は若干関西訛りを残しながら(それも私の外見とあいまってかわいく見えるアクセントになっている)東京の楽しいJKだ。ビバJK
「じゃあ渋谷?」
「渋谷はあんまりいきたくないなぁ」
あのいつでも人がごった返してる渋谷は苦手だ、あの人の多さに比べたら迷宮の方がまだ数倍マシ。
「あんた本当に渋谷苦手だね」
そういう橿原の苦笑いに私は手をヒラヒラしながら、あの人混みに行くくらいならウーパールーパー食うと言った。
なんじゃそら。と友人が苦笑いした時、教室の外から別の友人、生駒伝いに廊下の人物に呼ばれた。
よく知らない男の子だ。
「はーい。行ってらっしゃい」
何かを察した橿原が手を振る。なんだか嬉しそうだなコイツ
私は一度ため息を吐いてから、廊下に出る
そのまま男の子に先導されよく呼び出されるスポットに行った。何人目だコレ
そして、いきなり頭を下げられ
「好きです。もし良かったら付き合ってください」
「ごめんなさい。私、まだ恋愛とか分からなくて。」
私は間髪入れずお断りをした。
何度目だろうコレを言うのも。もう勘弁してくれないだろうか
「お試しだけでも良いから」
「本当にごめんなさい」
私は頭を下げる。なんだよお試しって。お試しで付き合えるなら最初からお断りなんてしてない
「じゃあ、何がダメかだけでも教えてくれないかな?」
その時初めて私は彼の顔をちゃんと確認した。うん、イケメンだ。腹筋八つに割れてそう。これアレだね。フラれたことにも納得してないだろう。
「トキメキませんでした」
私の理由に大して男の子は未だ不満げな顔でこちらを見る。こいつしつこいな
「じゃあ、逆に私の何がいいの?」
そう聞くと彼は光が見えたと思ったのだろう意気揚々と
「いつでも、おしとやかでかわいいところ、あと関西訛りがちょっとあるところが素が出てていいよね。」
ほら結局コレだ。割りと毎回理由は同じ。べつに告白してくる人が悪いわけじゃないけど、毎回理由がこれだと私も少し嫌になってくる。
それだけしか魅力がないのか私には
「私は別におしとやかじゃないですよ。関西なまりもちょっとわざとです」
きっぱりお断りをいれ、そして男の子にもう一度頭を下げて、教室に戻った。
「おかえり」
「こら、何をしてるのかね君らは」
私が教室に戻ると橿原と廊下から私を呼んだ生駒が金銭の授受を行っていた
「ん?賭けの結果ね、まことに遺憾ながら私が橿原に金を渡してるんだよ」
「ほう、その賭けとは?」
「次の告白は二週間以内かそれより先かだね!」
「ちなみに前者は勝ち額2000円後者は1000」
妙に生々しい金額やめろ
つーか2000円貰って喜んでんじゃねえ橿原このやろう
「ていうかさ、こういうのって普通、付き合うか付き合わないかじゃない?」
「そんなもん賭けにならん。あんたが今まで付き合った男がいたか?」
ぐうの音も出ない
「そもそも彩葉さ、さっきのだって人気のサッカー部のレギュラーかなんかでしょ?」
「ほー、そなんだ」
まったくと友人sがアメリカンなやれやれを見せながら
「あんたが付き合う男ってどんなんだろうね」
「ねー!」
「本因坊秀作かな」
「は?」
「なーんでもないよー。じゃあ行こっか、生駒も行く?」
「ん? どこいくの? まあ行く!」
だめだ標準語がちゃんと書けてる気がしない