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天を打つ  作者: ああああああああああ
17/28

ハンデ

 生駒と橿原と話さなくなった日の放課後私は桜ちゃんが教えてくれた碁会所に向かった。一応変装のつもりでメガネと髪型をポニーテールにして店の前についた。

 店内に入ると受付があって奥にずらっと碁盤が並んでいる。中は盛況で老人から若者まで男ばかりが打っていた


 「いらっしゃい。おや!これはめずらしいタイプの子が来たな」


 カウンターの奥から初老の男性が出てくる。高の原元アマ名人。アマの世界で最強と唱われた逸材。


「えーと、はじめまして。ここで打たせて欲しいんですけど料金はいくらですか!」


 私は目一杯の笑顔で聞いてみる

 すると高の原さんはにこやかに


 「初回は無料でいいよ。君みたいな子には居着いて欲しいからね」


 圧倒的感謝!我がDNA!!


 「で、君どれくらい打てる?」

「どれくらい・・・・なんですかね?」


 私はあいまいに答える。桜ちゃんとの対局が四年ぶりだった私は思いっきりボコられネット囲碁すら怖くてやりたくなかったのだ。

 しかも、くだんのツイートで私は今あまり身分を明かしたくない。特に囲碁関係者には。


「うーん困ったな。初心者ではないんだよね?」

「違います」

「じゃあおじさんと指してみようか」

「本当ですか!?」


 やったぜアマ名人一本釣りだ!!

 高の原さんに連れられ店の奥に入る。彼は店で慕われているようで年に問わず「ナンパ成功?」「やるねー」とかからかわれている。その一言一言に律儀にやめなさいよと笑いながら楽しそうに受け答えしていた。


 私も最初はバレるんじゃないかと身構えていたが、さすがに四年も経ってると私を私と認識する人はそうそういないかった。


 「さて、何子おこうか。」


 席に座るとすぐに高の原さんが私に問いかける。何子おこうか?これは格上と格下の相手が対局するときのハンデを示している。最初、碁盤に格下が要所に碁石を置くことで、格下の方が盤面を作りやすくなるのだ。


 つまり高の原さんは私に「さて、どれだけのハンデが欲しい?」と、聞いてきたのだ。

 私の口からついつい「は?」と言う声が漏れだしそうになったが何とか押し止める。

 おいおい早速エゴイストが顔を出してきたよ。今の私は明らかに彼より実力が劣っているのだ。私は自分に言い聞かせた。


「四子でお願いします。」

 

 

 

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