みんな
土曜日、私は久しぶりに日本棋院まで来ていた。
・・・・これは入ってもいいのかしら、四年間寄り付かなかったしなぁ。院も逃げるようにやめたし。入りづらい。
そもそもこれ院行かなくてもいいんじゃね?良く良く考えたら院って14の歳までじゃないと入れないし。うん! 碁会所に行けば良いじゃないか。
私は棋院前まで来てひよった。それは認めよう! あぁ、認める。しかしこれは勇気ある撤退であるのだ。
「何をしてるのかしら?」
「あ、」
「お茶どうぞ」
「こ、こりゃどうも」
ずずずっと口をすする。熱い、熱いけど今そこまでの熱さを感じる余裕がない
目の前にいる人のせいだ、吉野 桜。私の院での先輩だった人。こりゃまた美人で関西から来たばかりの私によくしてくれた人だ
「で、何しに来たの?」
「お、怒ってる?」
「何で私があなたに怒らなければならないのかしら?」
いや、そりゃあね。そうなんだけど
「笑顔がこわい」
「失礼ね。私は割りとこんな顔よ。で、何してたの?『最短距離さん』」
「ぶぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!」
お茶がお茶がぁ!!
「なにしてるのよ。汚いわね」
「いやいやいやいや、最短距離さんってまさか、あれ」
「ええ、みんな知ってるわよ。棋院の囲碁関係者であれ知らない人はいないんじゃない?」
まあ、 良く良く考えたら当たり前の話だ。あんなスピードでRTされる呟き、彼を本因坊と知っている時点で囲碁をしている人なんだろう。そりゃどっかしらで棋院に繋がるのも不思議な話じゃない。
しかし! されど!!
「みんなって、桜ちゃん。」
「みんなはみんなよ。逃げ出した雑魚がっ!って割りとみんな怒ってるわよー」
気持ちは痛いほどわかる!!