頭から消えた 3
近付きよく見てみると、机の上は埃だらけで最近使用した痕跡は無い。
机の上も乱雑に本が散らばっている。
持ち主は片付けるということを知らないのか。
ふと机の片隅にメモ帳を見付けた。
埃を払い手に取る。
ぺラリとめくると何やら書いてある。
[ガミガミガミガミうるさい。頭が破裂しそうだ。少しは楽にさせてくれ]
何のことを綴ったものかは分からないが、気分の良いものではない。
続きを読む。
[彼女は俺のことを分かってくれる。あいつとは違う。俺にとって彼女が一時の癒しだ]
何だこのメモは。
男は思う。このメモを書いた人間は確実に病んでいる。
その後、メモ帳を読み進めていっても書かれているのは日常の苦心と『彼女』から得られる癒しについてだけだった。
何も男についての情報は書かれていない。
男は落胆する。
本当に自分はこの家の人間なのか。
探索を進める度に不安が増していくような気がする。
男は書斎を出て別の場所を探すことにした。
2階は2部屋だけなので男は階下を調べてみることにする。
階段を踏みしめる度にあの不快なギシギシという音が鳴る。
思わず耳を両手で塞ぎながら階段を下りる。
階段を下りた先は薄暗い廊下だった。
何か生臭い臭いもしてくる。
男はとりあえず階段横の扉を開けることにした。
扉はスッとスムーズに開く。
どうやらここはリビングのようである。