租界の幻人
大海に揺れる船の上…深きとばりに覆われた中で。
此処は租界、東洋最大の西洋都市。
これから行くところは最近出来たらしくて人の出入りが多い。
私もその一人だ。
といってもただの移住者じゃない。
呼ばれたのは工部局、租界の行政機関だ。
でもどんなことをするなんてのは聞いてないね。
まぁ想像はできるけど。
私にできることなんて限られてる。
この世界に入ってどれくらい経っただろうか。
そんなことは私にとってどうでもいいことだ。
…あぁ、それで何をするかって?
何て言ったらいいんだろうな。
ん〜あれだ、静かな街を守ること、かな。
また今度説明するよ。
おっと、もう港に着くね。
なかなかにいい景色だ。
前居たところを思い出すよ。
じゃあまた何処かで。
多分、この租界で逢おう。