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俺・プリンセス  作者: 風鈴P
第7章 商船護衛編
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第68話 事件後

「気に入らないねぇ。」

ノエルがむすっとした表情で言った。

「どうしたの? ノエル。」

俺はノエルの顔を覗き込んだ。

「か、顔が近い…」

ノエルは少し顔を赤くしてさっと身を引いた。

「お、おほん。気に入らないと言ったのは、この船の雰囲気が、さ。」



ロベールの事件があって1週間。確かに船内の雰囲気はピリピリしていた。

ロベールのパーティは補佐だったアルバンがリーダーとなり任務を続行していた。

彼らは元々他のパーティからは距離を置いていたが、更に顕著になった。

イアサント達もそうだ。

「ねぇ、ノエル。ロベールを殺したのは…、誰なんだろうね?」

俺は水筒に入れていた紅茶をカップに注ぎ、ノエルに渡しながら言った。

「うーん、そうだねぇ。」

ノエルはカップを受け取り一口飲んでから答えた。

「一番怪しいのは貴女かな、アスカ。」

「えええええ、俺?」

「冗談だよ、でも…」

ノエルは紅茶を飲み干し、カップをテーブルに置いた。

「今この船に乗ってる中で、一番の剣の使い手はアスカだよ。あのタコの時、ロベールやイアサントのパーティの奴らも見てただろ? そうであれば彼らはアスカの実力を分かっているはずさ。」

「うー、フェルディナンにも同じこと言われた…」

「でも、貴女はやってないんでしょ?」

「もちろんだよ。」

「ならそれでいいんじゃない?…ふあ~。」

ノエルはそう言うと立ち上がってぐーっと背伸びをした。

「さて私はそろそろ休むわね。任務明けで眠いの。」

「あ、ごめんね。お疲れ様。」

「ありがとう。…アスカ。」

「ん…?」

「常に注意は怠らない様にね。」

「うん、分かってる。」

「それじゃ、ね。」

ノエルは手をひらひらと振ると、船内に入って行った。

ノエルは、最初は俺の事を嫌っていたみたいだったけど、最近ではかなり話してくれるようになっていた。

「ん~。」

俺は空を見上げた。

ロベールの事件。

この事件以降、パーティ間で疑心暗鬼になっているのが俺でも分かっている。

ノエルやフェルディナンが言うように、アルバン達は俺を疑っているかもしれない。

俺達~ノエルパーティ~フェルディナンパーティはそうでもない。

それなりに信頼感はあると思う。

イアサント達については良く分からない。

バルデレミー商会に俺達を引き合わせてくれた以降の交流は殆ど無いに等しい。

これは意外だった。

かといって、ノエルやフェルディナン達を完全に信用して良いものかとも思ってしまう。

せっかく信頼感を持てるようになったのにと思いながらも、内心ではそう考えてしまうのだ。

それともう一つ。

俺は自分の剣の鞘を掴んだ。

『もし俺がロベールと一対一で戦ったとしたら』

俺はロベールに勝てるだろうか?

俺はロベールの戦っている姿を見たことがないから、彼の実力が分からない。

ロベールはAランク冒険者だ。

騎士剣を持っているし、他の冒険者の話を総合すると剣の使い手なのだろう。

俺が知っているAランク冒険者と言えば、師でもあるテオドールだけだ。

もちろんAランクの中でも実力差はあるんだろうが、テオドール並の実力があるとしたら俺には勝ちが見えない。

Aランク冒険者との勝負か。

(アルエット)として目覚めて約1年。

目覚めたばかりの俺はまず戦うことすら考えられなかった。

そう考えると、この1年でかなり成長したとは思うけど…。

「アスカ、僕達は準備できたよ。」

アルフレッドが声を掛け、座っていた俺に手を差し出して来た。

「ああ、ごめん。」

俺は差し出されたアルフレッドの手を掴んだ。

「どうかした?」

「ううん、何でもないよ。」

俺は笑顔で答えた。

他のパーティーとか、そんなのは関係ない。

疑ってばかりいても仕方がない。

ノエルが言うように注意を払っていればいいのだ。

アルフレッド達のような大事な仲間がいるし、俺はリーダーとして皆を守っていくだけだ。

アルフレッドの横顔を見ながら、俺はそう思った。


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