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俺・プリンセス  作者: 風鈴P
第6章 北方洞窟探索編
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第55話 北方洞窟探索(5)

「ち、大した化け物だな。」

テオドールが舌打ちした。

俺もびっくり仰天だ。

まさか新しい腕が4本も生えてくるなんて。

「どうする? テオドールさん。」

「作戦に変更は無い。カール、行けるか?」

「うん!」

カールが態勢を低くした。

「オォォォ!」

唸り声を上げると、カールの毛が逆立ち始めた。

ダン!

地面を蹴る音とともに、カールが高く跳躍した。

「カール、頭だ! 頭を狙え!」

「ウガァァァ!」

カールが咆哮と共に右の拳を振り下ろした。

ガシャァ!!

恐竜骸骨の頭が半分吹き飛んだ。

グワァァァァ!

恐竜骸骨は凄まじい声を上げ、4本の腕を振り回した。

「全員いったん離れろ!」

テオドールの号令で俺達はいったん距離を取った。

ブォォ!

恐竜骸骨はもがきながらも一気に空気を吸い込んだ。

「ブレスだ!」

俺が叫んだと同時に骸骨の口から灼熱の炎が放たれた。

俺達前衛には当たらなかった…が、その先にはリディがいた。

「リディ!避けるんだ!」

テオドールが叫んだ。

「ぅ…あ!」

リディがハッとしたように前を見た。

しかしリディは動かない。恐らく足が竦んで動けないのだろう。

灼熱の炎がリディに迫った。その時!

ドン!

リディの体が突き飛ばされた。

「え…?」

「避けろって言われただろ?」

リディを突き飛ばしたのはガストンだった。

リディは何とか炎の範囲から逃れたが…

「う、く…!」

ガストンも炎から逃れようとしたが、態勢を崩して動くことが出来なかった。

そして、炎がガストンを直撃した。

「う、ぐわぁぁぁ!」

ガストンが悲鳴を上げながらもがいた。

「う、ガストン!?」

アルフレッドがガストンの方を見た。

光系攻撃魔法の詠唱を終え、術式を右手に固定したところであった。

「テオドールさん、俺達はどうすれば…?」

俺はテオドールを見た。

「…だめだ。間に合わん。」

テオドールが弱弱しく答えた。

「アルフレッドなら…、水系の魔法を使って、それから回復魔法を…!?」

「そうだ。それをやれば致死的な火傷まで負わないかもしれない。だがそれは、あの化け物を倒すための光系攻撃魔法の術式固定したままでは出来ない…」

「っ…!」

俺は口をつぐんだ。

恐竜骸骨を一気に消滅させるためにはアルフレッドの魔法が要る。

だがこれから強力な魔法を使うというのに、その他の魔法を同時に使うなんて出来るわけがない。

「そうだ。か、風だ! 風であの炎を消せれば…」

俺は風の宝玉に魔力を込めようとした。だが、

「う、うわ!」

恐竜骸骨の腕が俺に襲い掛かった。

キン!

俺は剣でそれをいなし、さらに距離を取った。

「ば、ばかやろう! 何をやっている、さっさとその化け物を倒せえ!」

ガストンがもがきながら叫んだ。

その声に俺達はハッとした。

「やつの言う通りだ。まずはこいつを倒さんといかん。アルフレッド! オレの号令で魔法を放て!」

テオドールが我に返った様に顔で言った。

「アスカ、こいつの足を狙う! カールは時間を稼げ!」

カールは俺達の前面に立ち、恐竜骸骨の気を引き、攻撃を受け止めた。

「よし今だ!」

テオドールと俺は同時に一気に前に出た。

ザシュザシュッ!

俺達の剣が恐竜骸骨の足を両断した。

恐竜骸骨がその場に倒れ込んだ。

「アルフレッド! 魔法を放て! カールはすぐそこから離れろ!」

アルフレッドは掛け声と同時に術式を開放した!

カッ!

巨大な光線がアルフレッドの手から放たれた。

同じタイミングでカールはその光線上から逃れた。

そして光線が恐竜骸骨に命中した。

ウグォォォォ!

恐竜骸骨が悲鳴を上げ、徐々に体が崩れ始めた。

そして、数分後に消滅した。

「はぁはぁ…。ガ、ガストン!」

アルフレッドは息を切らしながらガストンの元へ走った。

「う、ぅ…」

アルフレッドは息をのんだ。

炎はほぼ消えていたが、ガストンの全身は大火傷を負っていた。

俺達もすぐ駆け付けたが…。

「・・・」

俺は言葉が出なかった。これは恐らく…致命的なものだろう。

「か、回復魔法を…」

アルフレッドが弱々しい声でつぶやいた。

「む、無駄、だよ…」

ガストンが小さい声を出した。

「この火傷が…、どんな、もの…か、良く分かる…よ。自分の体、だからな…」

「・・・」

俺は無言でこぶしを握り締めた。

「リディは…、無事、で良かった。な、なぁ? カール…」

カールは肩を震わせていた。リディは放心状態で横たわったガストンを見ていた。

「アルフ、レッド…。お前の魔…法、大したもの…だったぞ。」

「あ、ありがとうございます…」

アルフレッドは目を赤くしながら礼を言った。

「テオドールよ、お、俺は…、このパーティで、足手まとい…だったか?」

「そんなことは無い。お前がいなければ、オレ達はあの化け物に勝てていなかった。」

テオドールが答えた。

「は、はっは、Aランク冒険者に、言わせた俺は、大したもんだろう…? アスカ。」

「うん、ガストンさんは凄いよ。大切な仲間だよ!」

俺はガストンの傍に跪いた。

「アスカ、お前が俺の…娘みたいだ、って言ったの…、嫌じゃなかった…か?」

「うん。俺、元の世界でも、この世界でも、父親と思える人はいなかったから、ガストンさんにそう言ってもらえて、嬉しかったよ。」

俺は大粒の涙を流しながら答えた。

「そうか、それは…よかった。俺は…もうすぐ、娘の、元に行く…、が」

ガストンが大きく息を吐いた。

「じ、自慢の娘がもうひとりいたって…、あいつに自慢できる…よ」

そう言うと、ガストンの目から急速に光が失われていった。

「う、うわぁぁぁぁ!」

俺は大きな声を上げて泣いた。




ノワールコンティナンに転移してから3か月。

俺達の事を見守り続けてくれたガストンが逝ってしまった。





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