第52話 北方洞窟探索(2)
休息を終え、俺達は奥に進んだ。
「ここから先は不死系の魔物が出てくるハズだ。」
テオドールが言った。
不死系の魔物…。さっきの話では骸骨だったりゾンビだったり、こういう暗く不気味な魔力が漂う所に現れる定番の魔物なのだろう。
「ん…、そうすると…」
俺は考えた。
「どうしたの? アスカ。」
アルフレッドが俺に話し掛けて来た。
「ねえ、アルフレッド。不死系の魔物っていうのは、光属性に弱いんだよね?」
「そうだね。闇の力で甦った者たちだから…。不死系の弱い魔物は強い光を浴びるだけで組織が崩壊するんだ。強い魔物はただの光だけじゃだめだけどね。だから僕は上位光属性魔法の訓練してたんだけど。それ以外だと火で燃やし尽くすしか無いんだ。」
「それってつまりさ、あの先にうようよいる、何と言うか量産型の魔物? には光だけで良いんだよね。」
俺は洞窟の先を見た。
この先には多くの魔物がいるような気配が感じられる。
「あ、うん、そうだね。」
「分かった。」
俺は頷いた。
「テオドールさん。ボス級ならともかく、そうじゃないゾンビとかに時間かけるのも無駄だと思うんだ。だからさ…」
「ん、何をしようと言うんだ?」
「今から俺が不死系の雑魚敵を消滅させるんで、出来なかった敵への対応をお願いします。」
「何だと…?」
「良いから見ててよ。」
俺は光のネックレスを握った。
この魔導具の能力は光の盾で敵から発せられる攻撃魔法を拡散させるものであり、本来は攻撃できるものでは無い。だが弱い不死系の魔物は強い光だけで組織が崩壊するのならば、この光の盾の眩い光だけでも効果があるはずだ。
光のネックレスに魔力を込めると、俺を中心に強い光が発せられ始めた。
強い光が洞窟内を照らしていく。
「一回の持続時間は5分くらいかな。そのあと10分くらいは使えないけどね。」
洞窟の奥には不死系の魔物が数多くいた。
それらはかつてこの洞窟に挑んだ冒険者達の成れの果てである。
「冒険者の先輩方、今までお疲れ様でした。安らかにお眠りください。」
魔物達は光から逃れる様に動こうとしているが動けない様だ。
光が強く当たっている者から体が崩れ始めた。
「ほう、これは便利な技だ。この魔法が発せられているうちは光の玉もいらんな。」
テオドールが感嘆の声を上げた。
俺、グッジョブ!
前方に光を発せられているうちは戦う必要もないのだ。
5分ほど経ち、光が弱まり始めた。
「時間切れかな。10分くらい待たないと次は使えないから、ここからは普通に戦わなくちゃね。」
「ふむ、やっぱり使えんな。」
「ええええええ! ここでダメ出し?」
俺はテオドールを睨み付けた。
「不死系の雑魚どもを消滅させられるのは良いが、その技の本来の姿は防御だろ? 使いたいときに使えないでどうする?」
「そ、そうだね…」
「・・・」
ガストンが「なんだこいつら…」みたいな顔で俺とテオドールを見てきた。
「どうしたの? ガストンさん。」
「お前等…、危険な洞窟の中にいるってのに、緊張感の欠片も無えと思ってな…」
「ん、ああ。そうだね。きっとこれから危険が待ち受けてるよね。」
「今のところ出て来てる魔物は良くてBランク下位という所だろう。こんなところで時間を掛けている暇はない。進むぞ。」
俺達はテオドールを先頭にして先に進んだ。
ここらあたりはまだ先人たちが到達していた所だ。
700m程進むと道が細くなっているとこがありその先が広くなっているのだが、
そこに大量の魔物が蠢いているらしい。
所謂、モン○ターハウスのような所なのだろう。
先人たちはそこを突破できなかったのだ。
俺達はたまに出てくる魔物を蹴散らしながら先に進んだ。
「さて、ここからだ。」
俺達は警戒しながら細くなった通路に入った。
1分ほど進むと天井が高い広場のような場所に出た。
通路の出口は高くなっており、広場に降りるには坂の様になっている所を下りて行けばいいようだ。
「うわぁ…、いっぱいいるね。」
俺は眼下を見下ろした。
不死系の魔物が蠢いている。数は100体近くいるだろうか。
「前回挑んだパーティーはここを突破することが出来なかった。ここから先は全くデータが無いエリアだ。」
「突破するにしても、まずあの数の魔物をどうするか、だね。」
アルフレッドが軽くため息をついた。
こちらは6名、敵はおよそ100体。
突破するには相当の工夫が必要になりそうだ。




