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俺・プリンセス  作者: 風鈴P
第5章 霧の町編
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第50話 鍛錬の成果

俺達は北方洞窟の探索に向けて各々鍛錬を積んだ。

他の皆はどうだか分からないが、俺にとっては地獄の鍛錬だった…気がする。

何しろ毎日毎日Aランクの剣士との実戦訓練だったのだ。

最初は俺だけが攻撃して、テオドールは躱すか防御するだけだった。

しかし途中からは(みねうちであるが)、テオドールも攻撃してきた。

言っておくがみねうちが大した攻撃ではない、というのは勘違いである。

確かに斬られることはないが、棒で叩かれるのと同じだからだ。

「もう~、傷が残ったらどうするつもり?」

俺は擦り傷や青あざが浮かび上がった腕を撫でた。

「治癒魔法はアルフレッドがかけてくれているだろう?」

テオドールがわれ関せずというような顔で答えた。

「そうだけどー。」

俺は頬を膨らませた。

「悔しかったらオレに一撃与えてみるんだな。」

「くそー。」

俺は剣を構えた。

ブワッ!

同時に風が俺の体を取り巻いた。

この訓練で、俺は風の指輪の力を全身に纏う術を身に着けた。

今までは脚力の強化しか出来なかったが、今では全身を強化できる。

剣速の強化、防御面の強化である。

もちろんこれらを行うには強化したい部分へ魔力・風を移動させるため、その他の部分は疎かになってしまう欠点もあるが。

「ほう、速いな。」

テオドールが俺の攻撃を捌きながら言った。

「くー、当たらないな。」

キィン!

テオドールの一撃で、俺の剣は完全に弾かれた。

「ふむ。お前の鍛錬はこれで終わりだ。」

「うー、結局一撃も与えられなかった…」

明日は出発なのだが、俺は強くなれたのだろうか?

「何を言っている? お前はだいぶ格上の人間を相手にしていたのだぞ? 普通の敵を相手にするのには十分すぎる程成長したよ。」

テオドールは剣を収めた。

「そう?」

「そうだ。試しに冒険者ギルドのいる剣士に喧嘩売ってみるといい。今のお前なら楽勝さ。」

「うーん…」

先生が凄すぎると自分の成長に気が付きにくい という事だろうか。

「さて、俺は他の奴らの様子も見てくるよ。出発は明後日だ。それに備えて休むなり、準備でもしていてくれ。」

テオドールが立ち去ろうとした。

「あ、あの…」

「ん? 何だ?」

「今日までご指導ありがとうございました。」

俺は頭を下げた。

「ふふふ、止してくれ。柄じゃねえからさ。」

テオドールが照れ笑いを浮かべた。

「じゃ、後でな。」

テオドールは手を上げてから俺の傍から去っていった。

「んと、じゃ、ちょっとやってみようかな。」

俺はテオドールに言われた通り、ちょっと腕試しに行ってみることにした。

1か月前、霧の町の冒険者ギルドに入ったときは馬鹿にされたものだ。

あの時の男は最初から敵では無かったが、その他に実力者もいるはずだ。

俺は鍛錬場としていた丘を下り、霧の町の冒険者ギルドに向かった。

30分ほど歩き、俺は冒険者ギルドに到着した。

1か月前と違っているのは腰に黒曜石の剣をぶら下げているくらいだ。

服装もいつもの白魔○士フード付きローブだし、実力を見抜けない冒険者なら舐めてかかってくるかもしれない。

俺は扉を開け、建物に入った。

「て、てめえは…」

最初に声を発したのはあの時の男だった。入り口の監視でもしているのだろうか?

「おや、貴方はあの時の。ドアボーイでもされているのですか?」

俺は皮肉を言った。

「い、いや…」

男はあっさりと引き下がった。

うーん、拍子抜けだ。

「こいつか? お前が言っていたガキは…」

奥から大男が現れた。

「あ、ああ…」

それを聞き、大男が前に出て来た。

「何ですか? 貴方も同じような感じの人ですが、そこの人よりは腕が立ちそうですね。」

俺は大男を見上げた。

「カカカ。Dランクって聞いたが、中々物怖じしない小娘だな。」

それはそうである。毎日Aランクと戦っていたのだから。

「うちのパーティのモノがあんたとその仲間のガキを馬鹿にしたそうだな。」

「ええ。私を馬鹿にするのは結構ですが、仲間を馬鹿にしてもらうのはちょっとね。」

「ははは、それはすまなかったな。だが…」

大男が俺を見下ろした。

「俺はお前の実力に興味がある。ちょっと表に出ろ。」

キター!

目覚める前の俺がちょくちょく経験してきたこの感じ。

「良いですけど、誰にも迷惑が掛からない所でお願いしますね。」

「ははは、そうだな。」

大男が豪快に笑った。

「よし、ついてこい。」

俺は大男と共に、町はずれの空き地に向かった。

この大男の仲間らしい冒険者や、野次馬の冒険者も数名付いてきた。

「俺の武器はこの斧だ。お前の武器はその剣か?」

大男は大きな斧を手に取った。戦斧というやつだろう。

「そうです。」

「言っておくが、俺はお前を殺すつもりで行く。お前もそのつもりで来ることだ。」

「嫌ですね。私は貴方に殺されるうもりはありませんが、貴方を殺すつもりもありませんよ。」

これはただの喧嘩だ。命のやり取りまでする必要はあるまい。

「ふん、死んでから後悔しても遅いぞ。」

そういうと、大男が斬りかかってきた。

俺は剣を構えた。

ゴォォ!

大男の戦斧が俺に向かって振り下ろされてきた。

…遅い。

俺は戦斧を躱し後ろに飛んだ。

大男が追撃してきた。

俺は大男の攻撃をいなし、懐に飛び込んだ。

そして俺は剣先を大男の首に突き付けた。

「な…!」

大男が驚きの表情を浮かべた。

「チェックメイトです。私の勝ちですね。」

周囲の冒険者たちも唖然とした表情だ。

彼らの目には異様な光景に映っただろう。

この大男は少なくともBランク中位以上の実力はあるだろう。

それをDランクの小娘が圧倒したのだ。


テオドールの言っていた通りであった。

俺はかなり成長していたのである。


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