第5話 久しぶりのお勉強~魔法について~
「であるからして…」
ブレーズの話が続く。
「はぁ…」
もう3時間は経っただろうか。
もっともすぐ近くに時計が無いので、分からないのだが。
今行われている「授業」は、この国の成り立ちと歴史だ。
要約するとこうだ。
1000年前の人魔大戦で活躍した大魔導士がいた。
その名も、ジャン・クリストフ・ヘンドリクセン。
数多くの属性の魔法を使役し膨大な魔力総量から、最上級の神級魔導士とも言われた。
長い歴史を見ても、そんな魔導士は数える程しかいなかったそうだ。
目の前のブレーズのような上級魔導士がスーパーサ○ヤ人だとしたら、そいつはスーパー○イヤ人4と言ったイメージで良いらしい。(これは俺の勝手な印象だが。)
で、その大魔導士が攻め入る魔族を薙ぎ払って英雄となり国を作った。
それがナイザール王国だ。
そして今でもその魔導士が確立した魔法体系はこの国の根幹をなし、強大な国力を支えている。
その王族である俺はその血を引いているようだ。
ちなみに俺の父親である現国王は聖級魔導士だそうだ。
国の始祖よりはかなり下がるが、それでも十分強力な魔導士らしい。
「姫様、お分かりになられましたか?」
眠そうな俺を見て、ブレーズが視線を送ってきた。
「ええ、大体ね…」
言っておくが俺は不良だが、馬鹿ではない。
授業の要点を理解する術は持っているつもりだ。
「俺、いや、私がその偉大なご先祖様の血を引いているのであれば、私も魔導士になれるかもしれないんですよね?」
眠そうな顔をしながら、俺はブレーズを見た。
「勿論でございます。一般的に魔法を使うには使いたい属性の精霊と契約する必要があります。術者の才能である程度契約できる属性が決まってきますが、修行によって新たに契約できる属性が増えることがあります。」
つまり努力すれば報われることもあると。
「また契約できたとしてもその属性のどのクラスまで術を習得できるかも、才能や努力如何で変わってまいります。」
ブレーズは魔導書を取り出し、属性説明の頁を開いた。
「基本の属性としては世界の四大元素とも言われる火・水・風・地があります。その他にも光や闇など様々な属性があります。四大元素の属性を操れればかなり強力な魔導士と言えるでしょう。」
へぇ、属性とかよくあるRPGみたいな設定なんだな。
「ブレーズ先生はどれを使えるの?」
「私ですか? 私は四大属性全て使うことができます。もっとも得手不得手もありまして水属性が一番得意で、火属性は中級魔法初歩がやっとですね。四大属性以外は雷と回復魔法を中級まで扱えます。」
なるほど、このおっさんはかなり凄い魔法使いなのか。
「アルフレッドも魔法を使えるの?」
俺はアルフレッドを見た。
「はい。僕は四大属性では火と水を中級上位まで使うことができます。四大属性以外は光属性を契約できたのですが、僕の魔力ではまだ使役出来ていません。」
光! なんという主人公属性。
「アルフレッド君は代々の魔導士の血筋ではないですが、それでも三つの属性と契約できたということはかなり凄い事だと思いますよ。」
ブレーズ先生が褒める様に言った。
確か、アルフレッドは奴隷の出なんだよな。きっとかなり努力しているのだろう。
「私は何か使える属性ってあるのかな…」
「姫様の場合は精霊との契約の必要はありません。」
「え? どういう事?」
「姫様は神級魔導士の血筋だからです。」
え、だからそれはどういう事なんだよ!
「初代ヘンドリクセン王はその強大な魔力で全ての属性を使役ではなく、隷属させました。彼は全ての属性を使用できた最初の人族と言われています。」
うん、つまりチートだな。
「ヘンドリクセン王の血を継ぐ者はその血統の力で、精霊を隷属させる能力を持ちます。我々とはスタートラインが違うのです。」
つまり、俺はその血を継ぐから契約は必要ないのか。もしかして俺って天才?
「もっともスタートラインが違うからと言って全ての魔法を使えるわけじゃありません。その人物の魔力総量や修行如何で最上級の魔法を使える場合もあれば、全く使えない場合もあります。」
なぁんだ。結局はやる気次第って事ね。
「ですから魔法を使いたければ、姫様は早く体を治し、修行をされたほうが良いかと思います。その時は私が教えて差し上げますから、ご心配なく。」
ブレーズ先生はにこやかにそして、自信満々に言った。
※ 魔法・魔導士のランク付けに関しましては理不尽な孫の手先生の「無職転生 - 異世界行ったら本気だす -」を参考にさせて頂いております。感謝。