第45話 俺の鍛錬
翌日、俺は鍛錬の為に町から少し離れた丘にやってきた。
アルフレッドとテオドールが一緒だ。
「さてアスカ。お前はどのようになりたいと思ってる?」
「テオドールさん。私に剣を教えて欲しいです。」
「剣? お前は力もあまりなさそうだが、接近戦が出来る様になりたいのか?」
テオドールが怪訝そうな顔をした。
「私は自分では良く分かりませんが、あなたが言ったようにかなり大きい魔力を持っているようです。でも私は呪文の詠唱が出来ない呪いを受けています。なので、魔導具を使わないと全く魔法が使えません。」
「ふむ…」
「今私が持っている魔導具は三つ。まず一つが風の指輪、これは風を起こしたり、風を自分に纏わせることで高速移動が出来ます。」
俺は指輪に魔力を込めた。風が渦巻き、俺の体を覆った。
「二つ目は光の盾のネックレスです。これは魔法攻撃を打ち消す光を出すことが出来ます。三つ目は、うーん、なんていうか武器を出すことが出来るネックレスですね。」
俺は黒のネックレスに魔力を込め、短刀を具現化した。
「ほう、これは面白いな。」
「それで思ったんですけど、この武器の具現化ですが、他の形状のものも出来るのではないかと。」
「それはどういうことだ?」
「はい。これは前に一緒にいた仲間がハサミを投げて壁に突き刺してたのを見て、投げて攻撃するのなら短刀かなって思ったらこれが具現化できたんです。その理屈なら、イメージさえできれば他の形のものも具現化できるはずなんですよ。」
「ふむふむ。」
「それでなんですが、貴方のその剣、いや、刀を少し貸して頂きたいです。」
「なるほど、分かった。」
テオドールが刀を抜いた。やはりこれは日本刀のようだ。
「実はオレの父親は刀鍛冶でな。異国の技術を取り入れたものだと聞いている。」
テオドールが俺に刀を渡してきた。
「綺麗な刀ですね。」
本当に美しい刀だ。吸い込まれるような輝きを持つ刀身は切れ味がよさそうだ。
俺はしばらく刀を眺め、テオドールに返した。
「ありがとうございます。イメージが出来たので、やってみますね。」
俺は黒のネックレスを握りしめ、目を瞑った。
頭の中でテオドールの刀をイメージした。
ネックレスから黒い霧が立ち込め、徐々に集まっていった。
そして、それは刀の形になった。
「おお、これは凄いな。」
その形はテオドールの刀そっくりで、色は全体に黒いが、刀身は黒曜石のような輝きを持っていた。
俺は宙に浮かぶ刀を握った。
「ん…!」
俺は刀に魔力が移動する感覚を感じた。
さっき風を纏っていたせいだろう。刀身の先まで風が伝わっていった。
「アスカ、その状態で向こうに向かって刀を振ってみろ。」
「はい。」
俺はテオドールの言葉に従い、誰もいない方へ刀を振った。
ブワァァ!
刀から鋭利な風の刃が放たれ、立木にぶつかった。
立木が切り刻まれた。
「すごい!すごいよアスカ!」
アルフレッドが感嘆の声を上げた。
「ふむ、大した攻撃力だ。その状態なら風の刃として飛ばす以外にも剣速の強化など、自分自身の身体強化も出来そうだな。」
テオドールが満足そうに言った。
「よし、お前に剣技を教えてやる。オレの剣は一般的な騎士剣や大剣を使ったものとは違い、力だけで戦うものではない。力のないお前でも出来るようになるかもしれん。1か月ではどこまで身に付けられるか分からんが、厳しく教えてやるつもりだ。付いてこれるか?」
「は、はい! よろしくお願いします。」
俺はぺこりと頭を下げた。
冒険者として上を目指すなら、今まで通りではだめなんだ。
ここがチャンスだ。頑張って鍛錬していこう!




