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俺・プリンセス  作者: 風鈴P
第5章 霧の町編
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第44話 Aランクからの誘い(2)

「という訳なんだ。」

俺は仕事から戻ったアルフレッドとガストンに、冒険者ギルドでの出来事を話した。

「そいつ、テオドール・クザンと言ったな?」

「知ってるの? ガストンさん。」

「ああ、冒険者の間では有名だ。俺は面識は無いがね。テオドール・クザンは剣の名手で細身の剣を好んで使うそうだ。」

言われてみれば腰に下げていた剣は大剣や騎士剣とは違う感じだったな。

日本刀に近い感じのものだった気がする。

「でもあんな細い剣で強力な攻撃とか防げるものなのかなぁ。」

「攻撃を受け止めるだけが防御じゃない。受け流すという技術もあるんだよ。」

受け流すか…。それならば腕力のない俺でも身に着けることが出来れば…。

「それでどうする? そのテオドールって人の誘いには乗りますか?」

アルフレッドがガストンに問い掛けた。

「ふむ…。仕事内容にもよるが話としては悪くない。Aランクの冒険者が受ける仕事なら、成功報酬もかなり高いはずだ。もっとも、それだけ危険だろうがな。」

ガストンが俺をチラっと見た。

「だがテオドールがアスカやカール、リディを見た上で話を持ち掛けて来たのならば、それなりの勝算があっての事なのだろう。この話自体が罠でなければな。」

罠か。そういうことはあまり考えたことが無かった。

「とりあえず一度会ってみよう。明後日に冒険者ギルドにいるって言ってたんだな?」

「うん、そう言ってた。」

2日後、俺達はテオドール・クザンに会うことに決めた。




約束の日、俺達はみんなで冒険者ギルドに向かった。

今回はガストンがいる。細かい交渉はやってくれるはずだ。

「おお、来たか。アスカ・エール・フランクール。」

テオドールは既に酒場の隅のテーブルで酒をあおっていた。

「こんにちは、テオドールさん。」

俺はぺこっと頭を下げた。

「そちらの二人がこの前言ってた仲間かい?」

「はい、そうです。」

「お初にお目にかかる。俺はガストン、Bランク冒険者だ。」

「僕はアルフレッド・フランクールです。まだCランクですが、よろしくお願いします。」

「ふむ…」

テオドールはガストンとアルフレッドを一瞥した。

「なるほど、この二人も中々実力がありそうだ。…挨拶が遅れたね。オレの名はテオドール・クザンだ。よろしく頼む。さ、君達も掛けてくれ。」

テオドールに促され、俺達は椅子に座った。

「アスカには言ったが、君達にはオレと共に仕事をしてもらいたい。この仕事はAランクで本来ならばアスカやそっちの子供達は受けることが出来ないが、オレのパーティとして登録することで、それが解決される。」

「え、そうなの?」

「パーティとして仕事を受けるならば、その基準は代表者の冒険者ランクになるんだよ。」

アルフレッドが教えてくれた。

「俺達としては願っても無い話であるが、受けるかどうかは無いように寄るな。何しろ実力はともかく、冒険者としての経験が浅い者を連れての任務になろう。リスクに見合ったものであるかが重要だ。」

「そうだな、ガストンの言う事はもっともだ。協力を頼みたい仕事内容を見せよう。」

テオドールが紙を広げた。

「北方洞窟の探索だ。オレは不参加だったが、前回の探索でこの洞窟には不死系の魔物、大蜥蜴系の魔物が生息しているらしいことが分かっている。その探索に参加していたのはAランク1名、Bランク6名でその内生存者はBランクの者1名だけだったそうだ。」

「な…? お前はそんな危険な仕事を俺達にやらせようと言うのか?」

ガストンが気色ばんだ。

その通りだ。俺達はガストンこそBランクだが、他は全て格下だ。

「ガストン、あんたの反応はもっともだよ。だがオレはオレなりに考えた上であんた達を誘ったんだ。」

「それはどういうことですか?」

「まずはアスカ。前にも言ったが、お前の魔力総量はかの大魔導士ヘンドリクセンに引けを取らない。オレはそう感じた。この前見せたあの風をうまく使えばかなりのものになる。それにお前が着けているそのネックレスも魔導具だろう。それも使い方次第でかなり使えるはずだ。」

テオドールは次にカールを見た。

「次にお前、カールと言ったな。見たところお前に足りないのは経験だけだ。力、スピード、そして獣化を使いこなせるようになれば、オレですら手こずるだろう。まぁオレにか勝てないだろうがな。」

テオドールはリディを見た。

「お前ははっきり言って良く分からん。だが、あえて封じているその能力、相当なものだろう。今回この仕事を受けてくれるのであれば、その能力を十二分に発揮してもらいたい。」

そして最後にアルフレッドとガストンを見た。

「そしてあんた達だ。ガストン、あんたは経験も実力もある。アルフレッドはCランクと言っていたが、かなりの魔法の使い手なんだろ?」

この男、少し会っただけで実力を見極められるのだろうか?

「この仕事はすぐに出発するわけでは無い。ひと月の準備期間を設けるつもりだ。その間に万全に準備をしようと思うし、お前達が鍛錬をしたいのならオレが付き合ってやるよ。どうだい? オレと組まないか?」

危険なのは分かる。だが俺達は冒険者になった訳だから、いつまでも楽な仕事ばかりするわけにもいかない。

…それに俺は強くなりたい。アルフレッドや、みんなを守れるだけの実力を付けたい。

「…ねえ、みんな。俺はこの仕事受けたいと思う。自分は今まで守られてばかりだったから、今度は自分が誰かを守れる力を手にしたいんだ。」

俺はアルフレッドや仲間達を見た。

「分かった。アスカがそういうなら、僕も一緒に頑張るよ。」

アルフレッドが微笑んだ。

「仕方ねえな。お姫様がそういうならな。だが、危なかったら撤退だぞ?」

ガストンがため息をついた。

「決まりだ。出発はさっきも言った通り1か月後。それまでに準備と鍛錬を行おう。」

Aランクの仕事だ、かなり危険なのだろう。

だがこの仕事を乗り越えることが出来れば、俺にとって大きなプラスになるはずだ。

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