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俺・プリンセス  作者: 風鈴P
第4章 ノワールコンティナン・黒の大陸編
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第38話 カールの決意

「えい! えい!」

早朝、外から声が聞こえた。カールの声だ。

「うーん、何だろう…?」

俺はベッドから起き上がった。

隣ではアルフレッドがまだ寝息を立っていた。

近くのソファの上ではリディが寝ていた。

寝相が悪いらしく、毛布は落ちていたし、寝間着は捲れあがっておなかが見えていた。

これ以上捲れるともう少し上も見えてしまいそうだ。

俺はリディの服を直し、毛布を掛けてあげた。

「これで良し…っと。」

毛布を掛けなおした後、リディがもぞもぞっと体を動かした。

俺はドアを開け外に出た。




外ではカールとガストンが向かい合っていた。

「やぁぁ!」

カールはガストンに殴りかかった。

「うむ、良いぞ。その動きは悪くない。」

ガストンはカールの掌底をいなすと、反撃を加えた。

…おそらく力は手加減して。

ビシッ!

「うわ!」

カールは目を瞑ってのけぞり、バランスを崩して倒れ込んだ。

「だがもう少しだな。踏み込みが足りんな。」

「いたた…」

カールはおでこを押さえていた。

「あれ…? アスカお姉ちゃん?」

カールが俺に気付いた。

「あ、ああ。おはよう、カール。ガストンさんも。」

「おう、アスカ。起こしちまったか?」

「いえ…。ところで二人とも何やってるんですか?」

俺はカールを起こしながら問いかけた。

「見ての通り、カールの鍛錬だよ。」

「鍛錬ですか?」

「うん、そうなんだよ。」

カールが立ち上がって、ズボンについた砂を払った。

「ガストンおじさんが言う通り、ボクはあの時自分を思い通りに制御出来てなかったんだ。目が覚めた時、ボクは縛られてた。ガストンおじさんに何があったか全部聞いたよ。」

カールは拳を握りしめた。

「ボクにはまだ獣化は早い。確かに獣化はボクの力を何倍にも引き上げてくれるけど、アスカお姉ちゃんやアルフレッドお兄ちゃん、それにリディを傷つけてしまったら、何も意味がないんだ。」

「カールは人間と獣人のハーフだからな。理性を保ったまま獣化するのは純粋な獣人よりも難しい。だが基礎的な実力を身に着け、獣化してる間の理性をコントロール出来るようになれば凄い戦士になれるだろう。それで今日から俺がこいつの鍛錬を引き受けたってわけさ。」

「へぇー、偉いね。カール」

俺はカールの頭を撫でた。

「ありがとう、お姉ちゃん。でも褒めるのはボクがもっと強くなってからにしてよ。」

「あ、うん。そう…?」

俺は目を丸くした。

カールはまだ目覚める前の世界で言えば、おそらく中学生くらいの子供だ。

そのくらいの子供がここまで真剣に考えているなんてすごいと思う。

「ん、待てよ…?」

俺はカールを見た。

「カール。あなた、リディの為に強くなろうって思ったりしてる?」

「ぶっ!」

カールが顔を赤くして噴出した。

「え、な、なんで?」

「いやぁ、あなたのさっきのセリフ、リディが最後に特別扱いみたいに言ってたし、リディが女の子だって分かったし。」

「そそそ、そんなことないよ! ボクは昔から強い戦士になりたいと思ってて…」

うーん、確かにここに転移してくる前に強い戦士になるとか言ってたけど、今のカールの方が強い意志を持っているように見えるしなぁ。

「…でも、お姉ちゃんの言う通りかもしれない。リディ、あまり戦いでは強そうに見えないし。力を持った人がそうじゃない人を守るのは、力ある者の役目。そうだよね? おじさん。」

「はっはっは、その通りだ。さぁ、もう少し稽古をつけてやる。来い! カール!」

「うん!お願いします!」

カールはガストンに向かって行った。

俺はしばらく二人の稽古を見届け、家の中に入った。

中に入ると、台所では料理をしているリディの背中が見えた。

「リディ、起きてたの? おはよう」

「…アスカ、おはよう。」

リディは料理をお皿に盛りつけながら言った。

うーん、朝にしては随分豪華だ。

さてリディだが、昨日は下ろしていた髪をポニーテールにしていた。

女の子だってわかる前は細身の少年に見えていたが、分かった後は女の子にしか見えないから面白い。

「今日は髪の毛結んでるんだね。可愛いよ、リディ。」

「そ、そう? ありがとう…」

リディが少し顔を赤らめた。

「それにしても、朝から豪華なご飯だね。どうしたの?」

「ぅ…」

リディが視線を逸らした。

「え…っと?」

俺はリディの顔をじっと見た。

「ははーん、ひょっとしてリディ。さっきカールが言ってた事が聞こえてたんでしょ?」

リディは耳がいいって言っていた。

鍛錬の間にカールが言っていたことが聞こえていたのかもしれない。

じーっと見てると、リディの顔がますます赤くなった。

「あまり、からかわないで…」

「分かった分かった!」

俺はリディの頬をつんとつついた。

俺は族長の家でアルフレッドが言ってたことを思い出した。

あの時は嬉しさと感動で心臓が爆発しそうなくらい鼓動が速かったな。

あまりからかうと、リディがかわいそうだ。そっとしておいてあげよう。





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