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俺・プリンセス  作者: 風鈴P
第3章 アスカの旅立ち編
32/121

番外編 “腰抜け”の意地

~ケヴィン視点~



ガチャ。

俺はマルゴワール伯の居城の応接間に入った。

「来て頂けましたか、義兄上。」

「ああ。俺を呼び出すなんて何の用だ?」

俺は義理の弟であるマルゴワール伯ジョルジュを見た。

「単刀直入に言いましょう。義兄上が保護しているヘンドリクセン王家第3王女、アルエットの引き渡しをお願いしたい。」

「ふん、何の事かな?」

「昨日、第2王子レオポルドの使いが来ました。アルエット姫が我が領内に潜伏していると。」

ジョルジュが窓の外を見た。

「義兄上、私はレオポルドの魔導兵器の破壊は依頼しましたが、アルエットを連れ出す事までは依頼しておりません。義兄上は一体何を考えておられるのか?」

「・・・」

俺は腕を組んだ。

「物見からの報告では、レオポルドの軍勢は街道を我が領地に向けて進軍中、数は1万。我らの軍は2900です。到底勝てるものでは無い。我らが永らえるには最早、アルエットを彼らに引き渡すしか無いのです。」

「…アルエットは俺の血縁だ。俺があいつの居場所を言うとでも思っているのか?」

「既に我が手のものが隈なく捜索しております。義兄上が何も言わずとも、そう遠くない内に発見することでしょう。」

「ちっ…」

俺はジョルジュを睨み付けた。

「悪いが俺はアルエット(あいつ)をお前等に渡すつもりは無え。もちろんレオポルドにもな。」

「…私は領主です。常に領地・領民の事を考えていなければならない。貴方のような自由な冒険者では無いのですよ。」

ジョルジュが手を上げた。

すると衛兵の一人が笛を吹いた。

恐らく待機していたのだろう。10名ほどの兵が応接間に入ってきた。

「義兄上にはアルエット捕縛までじっとしてて頂きます…。者ども、義兄上を捕らえよ!」

衛兵が迫ってきた。

俺は右手で剣を抜き、左手で袋から呪文書(スクロール)を取り出した。

パァァァァ!

これは閃光を放つ魔法が込められているものだ。

突然の光に、兵達は足を止めた。

俺はその隙に兵達の間を潜り抜けた。当て身で数名の兵を倒しながら。

「ジョルジュ、お前の考えは分かる。だが俺にも意地があってな。お前の好きにはさせねえよ。」

俺は部屋を出る前に、義弟(ジョルジュ)に言った。

「く…、義兄上!お、追え!」

しかし兵達はまだ動けない。

とりあえず俺はこの場の脱出に成功した。




応接間から抜け、俺は迅速にかつ目立たず城を脱出した。

俺の仲間達はアスカ達を逃がす為に今頃行動しているだろう。

それに関しては打ち合わせしているから、心配はしていない。

問題はその後だ。俺達も脱出しなくてはならない。

俺には変装の魔法がある。仲間と合流してしまえば、何とでもなる。

まずは自分の姿をローランへ変えた。

この姿はケヴィンとは別のAランク冒険者として認知されているから、行動はしやすい。

俺はもう1枚呪文書(スクロール)を取り出した。

これは仲間の現在の居場所を知ることが出来るものだ。

これには探したい者の血を一滴呪文書(スクロール)に垂らしていく必要があるが、仲間達の血は既に呪文書(スクロール)に登録済みだ。

魔法が発動し、読み取れた仲間の居場所が頭の中に入ってきた。

ロイは…宿屋から市場の間で戦闘中。

カサンドラとラカンは市場外側、それとこれはノーラか…。懐かしいな。

この場所の配置という事はアスカ達はそれより遠く、転移魔法陣のある神殿には到着しているだろう。

さすがは仲間達だ。

「さて、それじゃ俺も行くかね。まずは一番近いロイからだ。」

俺は使用済みで効果の消えた呪文書(スクロール)を破り捨て、その場を離れた。



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