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俺・プリンセス  作者: 風鈴P
第3章 アスカの旅立ち編
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第29話 翌朝

「ん…」

俺は目を覚ました。

ズキン…

下腹部に感じる痛みが昨夜の出来事を思い出させる。

俺は近くにあった服を着こむとよろよろと起き上がり、鏡台の前に座った。

酷い寝癖だ。

俺は自分の髪の毛に適当に櫛を通すと、さっきまで自分が寝ていたベッドを見た。

アルフレッドはまだ寝息を立てていた。

いつもは自分よりも早く起きて色々と家事をしているというのに、今日はお寝坊さんだ。

「昨夜の俺は…、(アスカ)なのかな? お姫様(アルエット)なのかな?」

俺は自分自身に問いかけた。

全くもって変な問いかけだとは思う。

俺は目覚めてから、今のところ意識を誰かに手放したことは無い。

しかし(アスカ)がアルフレッドを大切に想う気持ちは、やはりお姫様(アルエット)のものだと思う。

いや、お姫様(アルエット)(アスカ)にかなりの影響を与えていると言うべきか。

昨夜のアルフレッドとの逢瀬の事を思うと、そう考えずにはいられない。

でもなければ意識は男である(アスカ)が、男に好意を抱くはずがない。多分。

やはりお姫様(アルエット)ここ(・・)にいるのだ。

「…うーん、アスカ。おはよう。」

アルフレッドが寝ぼけたような顔で起き上がった。

「おはよう…。その、昨晩は、お楽しみいただけたかどうか…、あはは。」

俺は顔を赤くしながら言った。

「その、僕こそ、い、痛くしなかったかどうか…」

「だ、大丈夫…! ちょっとだけだから、あはは…」

うーん、不良だった俺が初心な恋人の初夜のような会話をするとは…。

異世界とは怖いところだ。




俺達は服を着替え、となりの部屋に移動した。

ロイとカサンドラがくつろいでいた。

「よう、アスカにアルフレッド。今日は遅いお目覚めだな。」

ロイはビールジョッキを掲げて見せた。昼間から飲酒とは良いご身分だな。

「おはよう、ロイ、カサンドラ。」

俺は冷蔵庫(電気は無いので氷で冷やすものだが)から果物のジュースを取り出した。

そしてコップ二つにジュースを注ぐと、ひとつをアルフレッドに渡した。

「ところでよ、お前さんたち、昨夜はお楽しみだったのか?」

ロイがニヤニヤしながら言った。

「ぶっ!ケホケホ…!」

俺は思わずむせてしまった。

アルフレッドは何と言えばいいか分からない、という顔をしていた。

「ち、ちょっと、いきなり何を言い出すの…?けほ…!」

俺はむせながらロイを見た。

「ロイ、若い男女が二人きりになったら、成すべきことはひとつでしょ…? あまりからかうのはおやめなさいな。」

カサンドラもにやけ顔だ。

「そうだよなぁ。昨日は気を利かせてこの宿から出ておいてやったが、多分、そうなんだよなぁ。」

ロイは頷きながら言った。

「や、やめてよ!二人とも!」

俺は顔を背けた。

「ははは、冗談だよ。からかってすまなかったな。」

「もう!」

俺はロイをじろっとした目で見た。

「と、ところでケヴィンがどこかに行ったのか?」

アルフレッドは場の空気を変えようとしたのか、ロイとカサンドラに問いかけた。

「ええ、何か伯爵様に呼ばれたとかで、一人でお城に行ったわ。ラカンはケヴィンに言われて町中を何か調べてるわ。ちょっとその内容は私達には分からないけどね。」

「俺達はケヴィンに言われて、何があってもすぐ行動できるようにここに待機してるんだ。」

「何があっても? ビール飲んでるのに?」

「ああ。俺の場合はちょっと酒入った方が、色々と良いことがあってな。はっはっは。」

本当だろうか? この人は飲んだくれだから、本当かどうか分からない。

「だから貴方達もいつでも出られる様に、必要な装備の準備だけはしておいてね。」

「こういう時のケヴィンのカンは当たるんでな。用意をしておいて損は無いと思うぜ。」

「うん、分かった。用意してくるね。」

俺は頷いた。

ケヴィンは何のためにそんな事を言っているのだろう?

俺はそう考えながら、元いた部屋に戻り、装備を整え始めた。

アルフレッドも隣で色々と準備をしていた。

「ねえ、アルフレッド。ケヴィンは何のために準備しておけって言ったんだろうね。」

「分からないな。でもケヴィンが伯爵様に呼ばれた と言うのが関係してるような気がするよ。」

「…たぶん、そうだよね。」

今までに読んだ小説とかだと、こういうのは良くないことが起こるパターンだと思う。

俺はごくりとつばを飲み込んだ。


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