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俺・プリンセス  作者: 風鈴P
第1章 目覚め~王宮生活編~
3/121

第3話 従者アルフレッド

「・・・」

「・・・」




沈黙が部屋の中を支配していた。

俺はベッドに腰掛け、少年を見つめた。

さっきのおばさんに「アルフレッド」と呼ばれた少年は編み物をしていた。

…ずいぶん女子力が高そうな奴なんだな。

「あ、あの…」

俺は少年に話し掛けた。

「えっと、アルフレッド君だっけ。、ちょっとさ。教えて欲しいんだけどさ。」

「何ですか? 姫様。」

少年が編み物の手を止め、俺の顔を見る。

「ここは、どこなのかな? あと出来れば…、俺の名前を教えて欲しいんだけど…。」

しまった…、俺とか言ってしまった。

…俺、今女の子なんだよな。いちおう。

「姫様、やはり何も覚えておいでではないのですか?」

少年が心配そうな目で俺を見た。

「そ、そうみたいなんだよねえ。あはは…」

俺は苦笑いをした。

覚えてない、とかじゃねえ。俺は何も知らないんだよ!

ま、コイツに言っても無駄かな。

「ここは魔法国家ナイザール王国の王都、バイゼル城です。窓から眼下をご覧ください。」

俺は言われるままに窓から外を見た。

「眼下に広がるのがその城下町です。ナイザール王国は魔法の力によって

強大な国力を維持しているのです。」

ま、魔法ねぇ。まさか…。

「そして姫様はナイザール王国国王、ヘンドリクセン3世陛下の第3王女、

アルエット・エール・ヘンドリクセン様です。」

姫、俺がねぇ…。

俺は自分の手を見た。細い。

喧嘩に明け暮れていた「俺」は腕っぷしには自信があった。

でも今ここにいる(アルエット)はそうじゃない。

喧嘩なんてしたら折れてしまいそうだ。

それに…

俺は寝間着から覗く自分の体を見た。



胸は…あまりない。貧乳だ。



「えっと、アルフレッド君。俺は今何歳なのかな?」

「姫様は16歳であらせられます。僕と同い年です。」

「そ、そうなんだ…」

16歳でこの胸は…。どんまいアルエット

「アルフレッド君は俺の従者だって言ってたけど、ずっと俺に付き従ってるのか?」

「その通りです。僕は5歳のの頃、この国にやってきました。

元は奴隷だったんですけど…」

アルフレッドは俺を見てはにかんだ笑顔を見せた。

「姫様が僕を救ってくれました。姫様は奴隷市場で僕を引き取るって言ってくれたんです。それから僕は姫様の従者として仕えております。」

(アルエット)とアルフレッドはもう10年以上の付き合いなのか。

「もう一つ教えて欲しい。君は俺が久しぶりに目覚めた、みたいなこと言ってたけど、

それはどういうことなのかな?」

アルフレッドの表情が曇った。

「はい…。もう3年も前の事です。姫様が城外に出掛けられたとき、姫様はお兄様のレオポルド第2王子の馬車に轢かれたんです。それ以来、姫様の意識は戻りませんでした。」

するとあれか? アルエットは今日まで3年間眠り続けていたわけか。

…なるほど。それでアルエットはこんなやせ細っているのか。

「この件は事故として処理されましたが、僕はそうは思いません。あれはきっと…。」

アルフレッドは口をつぐんだ。

「きっと…?」

「いえ、何でもありません。」

アルフレッドは視線を逸らした。

「・・・」

まぁ、いいか。

それよりもだ。一体これはどういうことなんだ?

(俺の中では)つい昨日までいつも通りの生活をしていたのいうのに、

目が覚めたら女の子になっているだと…?

しかも訳のわからない外国で、しかも魔法だと?

考えるだけでも頭がおかしくなりそうだ。

「…姫様、大丈夫ですか?」

アルフレッドが心配そうな顔で俺を見た。

「え、いや…」

こいつは本当に(アルエット)のことを心配しているみたいだ。

どうやら(アルエット)は命の恩人らしいからな。

それにこいつは信用できそうだ。

「ううん、大丈夫だよ。心配かけてごめんな。」

俺はアルフレッドに手を伸ばした。

アルフレッドは伸ばした俺の手に触れようとしたが、さっと引っ込めた。

そうか、確かこいつは自分が奴隷の身分だったと言っていた。

奴隷が王族に触れてはならない、と思っているのだろう。

アルエットがこいつに対してどういう気持ちでいたのか、それは分からない。

目覚める前のアルエットは俺じゃないんだからな。

「アルフレッド、目覚めたばかりで俺は体が言うことを聞かないから色々と手伝ってもらわなければいけないんだ。少しでも俺に触れちゃダメなんて考えじゃ困るよ…」

「そ、そうですね。すみません…」

アルフレッドは少し顔を赤らめながら、引っ込めた手を差し出した。



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