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俺・プリンセス  作者: 風鈴P
第3章 アスカの旅立ち編
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第24話 初仕事!

「お姉ちゃん、遊んでー。」

子供達が俺に纏わりついた。

これが冒険者としての初仕事なのか…?

どうしてこんなことに。




冒険者ギルドで仕事を引き受けた俺達は仕事場に向かっていた。

初めての仕事場はどんなところだろう?

洞窟の探検かな? 森に薬草を取りに行くのかな?

俺は少年のようなワクワクでいっぱいだった。

「着いたよ、アスカ。」

「へ…?」

まだ5分も歩いてないんだけど。

「すみません、冒険者ギルドから来ました。」

アルフレッドが建物のドアを開けた。

「あらあら、いらっしゃい。随分可愛らしいお嬢さんと男の子が来たのね。」

獣人族の女性が出迎えた。獣人族は御多分に漏れずグラマーだ。

「あなた、ギルドの方が来たわよ。」

「おお、来たか。」

鉢巻き姿の男性が奥から出て来た。商店街の魚屋と言った風貌だ。

…事実、ここは魚屋のようだった。

仕事の依頼内容はこうだ。

この店では鮮魚や魚を使った惣菜を販売しているが、その惣菜に使う調味料を届けてくれる人物が大けがをして来られなくなったらしい。

その調味料は他で替えが効かないらしく、仕方なく産地まで買いに行くことにしたそうだ。

でも険しい山道を通る為子供を連れていくのは危ないらしく、出かけている間の店番と、子守をギルドに依頼したそうだ。

往復で5日は掛かるとの事。

「鮮魚は港の知り合いが入れてくれるから心配無え。俺達がいない間の惣菜販売はしなくていい。これが商品の価格表だ。」

「ウチ、子供4人いて育ち盛りだからちょっとうるさいかもしれないけど頼むわね。お菓子とかジュースは台所にあるから自由にしていいわよ。」

夫妻は早口で説明すると、身支度を整え出かけて行った。

店番に、子守…? これが冒険者の仕事なのか?

俺は呆然とした。Eランクで冒険者なり立てに任されるのはこの程度なのだろうか。

「さて、僕は店番かな。」

アルフレッドは価格表を眺めた。

「え、ええ? 俺が子守をやるの?」

俺はアルフレッドの服の袖を掴んだ。

「僕が子守でもいいけど、アスカにこの世界の魚の説明とかできるのかい?」

「ぅ…」

それもそうだ。この世界の魚とか何も知らない。

転倒の保冷BOXに入っている魚も見慣れないものばかりだ。

「仕方ない…、俺、子守するよ。」

俺は肩を落とした。

俺は居間に繋がる扉を開いた。

「…キーーーック!」

子供が飛び蹴りをしてきた。

「ごふっ!」

…ヒットした。子供の力だから大したものではないが…。

「ななな、何するのよ!」

俺はその子の首根っこを掴んだ。

「放せー、ってあれ? 父ちゃんじゃない。お姉ちゃんだれ?」

猫耳がついた男の子がきょとんとした顔で俺を見た。

猫耳はあるが、獣人族程毛深くない。ハーフだとこんなものなのかな。

奥を見ると3人の子がいた。みんな不思議そうな顔でこっちを見ている。

俺は男の子の服から手を放すと、にこっと笑った。

「私は、アスカ・エール・フランクール。お父さんお母さんにみんなの面倒を見るのを頼まれたの。よろしくね! みんなの名前を聞いてもいいかな?」

「う、うん…」

子供達は自己紹介をしてくれた。

さっきキックしてきたのが一番上のカール、二番目が女の子のクロエ、三番目も女の子でエミリー、四番目は男の子でカミーユとの事だ。

「えっと、カールくん。さっきのキック、ちょっと痛かったよ?」

俺はカールのほっぺたをグリグリした。

「ご、ごめんなさい。」

カールがあわあわしたような顔で言った。

「素直でよろしい。それで、あっち、お店にいるお兄ちゃんがアルフレッドね。お店番を任されてるの。みんな仲良くしてね。」

「はーい!」

最初キックされたときはどうなるかと思ったが、素直な子達でよかった。

だがやはりこの子たちは獣人族の血を引いてるせいか、パワフルさが凄かった。

「お姉ちゃん! お姉ちゃん!」

って慕ってくれるのが良いんだが、みんながしがみ付いてくるし、カールなんかはもう俺よりも力が強いし。

それでも暫く遊んでいるとみんな遊び疲れたのか、居間で昼寝をし始めた。

カーペットの上、ソファーなど寝る場所は色々だがみんなスヤスヤ寝息を立てている。

俺はみんなに毛布を掛けてあげると、お店の方に出た。

「うーん、初日でこれなんて。5日間も持つかな、俺。」

店頭ではアルフレッドが接客をしていた。

「あら、今日は違う方がお店にいるのね。」

「ご夫婦で出かけられてまして、僕は代理なんですよ。」

アルフレッドが笑顔で応待していた。

「今日は何かいい魚あります?」

「そうですね。今日はこちらですかね。さっき仲買の方が持ってきてくれたもので、今朝上がったばかりなんですよ。」

「何か良い料理方法あるのかしら?」

「この魚は焼き魚で食べるのが一般的ですが、僕は煮魚をお勧めします。調味料は市場で買えるものだけで出来ますし…。あとはこの魚なんかは…」

うーん、何だか手慣れた感じの接客だ。

料理の説明もスラスラ出来、(アルエット)なんかより女子力が高そうだ。

そいや目覚めて最初に見た時なんて編み物してたな…。

俺はアルフレッドに見惚れながらもガックリとしてしまった。

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