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プロローグ
その日は夕焼けがきれいだった。刀と剣がぶつかり火花が散る。
「うぁああああああああああ」
私は一心に刀を振るった。ここで負けるわけにはいかなかったから。
「村雨、一の太刀【夜桜】」
私の刀から放たれる一閃から桜吹雪が舞い散り、彼の全身を襲う。だが彼をそれでは傷つけることができなかった。
「っく、なら」
この技では傷つけることができないのはわかっていた、けれどこれしかなかった、本当は傷つけることを私は望んでいなかったから、涙があふれるのを止めることができなかったから・・
「妖鬼、ごめんよボクの勝ちだ」
一瞬の出来事だった、私は刀を払い飛ばされ、喉元に剣を突きつけられた・・・
「そんな・・」
「妖鬼、たしかに君は強いけど」
静かに声が止まり、風の音だけがそこに聞こえ
「ボクの勝ちだ」
静かにドスッと鈍い音が私の体に、その場所に響き渡り、私は生まれて初めての一敗を与えられた。