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女大公カイエン  作者: 尊野怜来
第六話 失楽の王
169/220

黒いカルナヴァル 2


 招待客が壁際で押し合うように居並ぶ中、エルネストと並んで立っているカイエンの目の前で、ザイオン第三王子トリスタンが、朗々と長々しい挨拶の言葉を述べている。

 今宵の服装の決まりごとは、黒一色に差し色一つ、というものだが、仮面の方は別だから、彼の仮面は鼻から上を隠す金色のものだ。鼻から上を隠す仮面マスカラは、仮面舞踏会マスカラーダでは一番、無難な形だったから、まあ、今宵の主催者としては日頃の派手好みはこの点では抑えたというのだろう。

 だが、黒い衣装の差し色は鮮やかなエメラルド色で、しかも彼の女のように長い髪は青みがかった金色で、それにいくつもの色とりどりのビーズを散らしたものだったから、全体としてはこの仮面舞踏会マスカラーダに集った、ハーマポスタールの上位貴族たちの中にあっても、彼の姿はひときわ際立って見えた。

 他の人々は、「差し色」という文言を真面目に取ったものが多く、全体としては黒い衣装の中に各々が工夫した形で、ただ一色の色味を入れ込んでいる。男性は首回りのスカーフやタイ、胸元のハンカチ、服のボタン、男性用の太い指輪などに色を入れている者が多い。

 女性の方はもっと自由で、首元や胸元のレース、ドレスの切り替え、あしらわれたリボン、首から下げたネックレスに、華奢な手首や指を彩る腕輪や指輪、果ては長く整えられた爪の先、ドレスの裾からわずかに覗く靴の先など、様々な場所に差し色をのせていた。

 そんな中では、色だけ見ればカイエンとエルネストのなりは地味な方だった。

 エルネストの方は、仮面こそ表情の滑稽な、拷問吏とか首斬り役人の付ける仮面だったが、その下のなりはいつもの彼と同じように、形はシイナドラド風の直線的な意匠のもので、モノトーンでまとめられていた。ただ、並外れて背が高いので、その点で恐ろしく目立っていたことは否めない。

「しかし、埒もないことを長々と挨拶するもんだなあ。俺は招かれざる客だったから、シイナドラド外交官官邸で集まりなんざ開きゃしなかったが、同じ招かれざる客でも、堂々としたもんじゃねえか」

 カイエンの横で、エルネストがそう言ったが、それは羨ましいという声音ではまったくなかった。だが、カイエンはふと気が付いた。なるほど、ここに招かれてきている貴族たちは、カイエンとエルネストの姿を目にし、こうしてザイオン皇子のトリスタンが「挨拶とお披露目の宴」を開いているところを見れば、エルネストがシイナドラドの第二皇子だということを思い出すだろう。もしかしたら、なぜエルネストはこうした宴を開かなかったのか、と思うかもしれないのだ。

 カイエンは何か言いかけて、言うのをやめた。もう、一年近くも前のことなのだ。誰だって、面と向かってほじくり返そうとはしないだろう。それこそ、野暮というものだ。

 だが、そこまで考えてカイエンは思い付いた。ああ、このことをわざと話題の俎上にのせたがるとしたら、それは今、舌に油でもまぶしたように話し続けている、あの踊り子王子しかありえないと。

「……あの王子、面倒なことを言い出さなければいいが」

 黒死病医師の仮面の奥から、カイエンがそう呟いた時、エルネストのいる方とは反対側の、杖を突いている方の腕をそっと掴まれて、カイエンは仮面の中で、目線だけをそちらへ動かした。

 黒死病医師の仮面の目の部分には、本物のガラスの眼鏡が装着されている。だから視界はなんとも狭いが、周りを見るのには、いつもよりもやや首の動きを加減すれば、なんとかなった。本来は香草を詰め込んでいたというくちばしの部分は、下の方に大きな空気穴が開けられていたから、暑くて蒸れたり、呼吸が苦しいようなことはなかった。

「ああ、ミルドラ伯母様でしたか」

 カイエンがそこに見つけたのは、遠巻きにカイエンたちを見ていた人の輪の中から出て来たらしい、伯母のミルドラの姿だった。彼女の夫であるクリストラ公爵ヘクトルは、去年からずっと西の隣国ベアトリアと国境を領地のクリスタレラへ帰っている。だから、今日彼女が連れてくるとすれば、それは二人の娘たち、次女のバルバラと、三女のコンスエラのはずだった。

「まあ、長くて中身のない挨拶だこと。碌でもない企みばかり考えている、驕り高ぶったあの頭じゃ、いくらしゃべっても、これから始めようとしている三文芝居の前口上には足りないんでしょうけどね」

 ミルドラはカイエンの横へ立つなり、低い声でこう言い切った。

 今宵の彼女は、黒に柘榴色の差し色……というか、柘榴色の方が範囲が広いような、舞踏会向けとしては細身で粋なドレスに身を包んでいた。仮面はちょうど中央で色が変わっている、斬新な感じのもので、赤っぽい金色と柘榴色の二色に塗り分けられた仮面の意匠は、恐ろしいことに鋭いくちばしを持った鷹である。もっとも、カイエンのもののように大仰に前に飛び出した形ではない。鼻のあたりがやや高くなっているだけだ。

「カイエン、あなたの仮面とは鳥ってところだけは一緒だわね。……それにしても、ひどい趣味だこと」

 カイエンはそう言われることはもう、覚悟の上だったので、それについての言い訳はしなかった。

「ああ、伯母様。……バルバラとコンスエラは?」

 カイエンがそう聞くと、ミルドラは黙ったまま、彼女の後ろへそっと顎を向けた。

「連れてきましたよ。……私は、こんな仮面舞踏会マスカラーダなんて浮ついた集まりに、結婚前の娘を連れてくるなんで、狂気の沙汰だと思うけど。他のお家の奥様方は違うようね。ご子息よりもご令嬢の方が多いようだわ」

(まさか、ザイオンの王子様のお部屋様にでもなれたら、なんていう家は少ないだろうけど)

 つぶやくようにミルドラが言った言葉は、実のところではあながち外れでもなかったかもしれない。

 トリスタンがオドザヤの皇配候補としてのお見合いのために、このハウヤ帝国へ、ハーマポスタールへやって来たらしい、と言うのは、もう確定事項的になっている。さすがにオドザヤに断られるようなら、我が家の娘を、とまでは考えていないだろうが、愛人としてザイオンへ、という未来を肯定的に見ている家はあってもおかしくはなかった。

「うちの娘たちは、こうした席には慣れていませんからね。私も目が離せませんわ」

 そんなことを言うミルドラの後ろには、黒髪のバルバラと、父親に似た薄い色の髪のコンスエラの二人が、それぞれ、ツヤのある青みの入った濃いピンク色と、金色の輝きを織り込んだ、きらきら光る空色の差し色のドレスに身を包み、金銀で彩られた額から口元までを覆う仮面をうつ向けて、おとなしやかに立っていた。

 ミルドラとヘクトルのクリストラ公爵夫妻は、娘たちを社交界へ出すことにはあまり積極的ではない。そもそも、年の半分は領地のクリスタレラの大城にいるのだし、社交シーズンにハーマポスタールへ上京してきても、三人の娘たちが他の家の主催する集まりに出ることは少なかった。

 それは、なんと言ってもクリストラ公爵家は、このハウヤ帝国の「筆頭公爵」家である、と言うことが理由としては大きい。筆頭公爵家の娘たちが輿入れする先となれば、普通は限られてくる。だから、縁談はクリストラ公爵家の方が公爵家に釣り合う家を探して、その当主とするはずなのだ。だから、令嬢自らが社交界へ品定めに出る必要もないし、ましてや位階が下の貴族どもに品定めされる必要もないわけである。

 例外的なことだが、ミルドラとヘクトルの長女、アグスティナはクリスタレラ近郊の豪族、格下というよりは、もはや身分違いのポンセ男爵家へ、恋愛の末に輿入れしている。これは、次女のバルバラが公爵家を継ぐと決まったからでもあるし、恐らくはクリストラ公爵ヘクトルとミルドラの公爵夫婦が、「地元との繋がり」を重視したからだと言われている。

 一方、他の侯爵家以下の令嬢たちは皆、年頃になれば他家へ輿入れするのが普通だ。だから、子爵家、男爵家以下の両親は良い縁談が得られるよう、出来れば家格が少しでも上の家に縁付かせられたら、と、社交界へ出られる年齢になれば、積極的に出していくのが普通だった。

 だから、今夜、ミルドラが二人の娘を連れてきたとあって、彼女たちを見つめる貴族たちの視線は珍しいものを見るような視線なのである。侯爵家、伯爵家あたりの子息は「クリストラ公爵家の令嬢に気に入られるまたとない機会」と思っていたかもしれないが、彼らも先先皇帝の皇女であるミルドラ公爵夫人の気の強さは噂でよく聞いていただろう。

 今のところ、バルバラやコンスエラに近付こうとする者はいなかった。とは言っても、宴は今、やっと始まろうとしているところだ。

「ああ、やっと王子様のご挨拶が終わったようです。我々もせいぜい、楽しませていただきましょう」

 カイエンは天井の高い、だだっ広い元は某伯爵が作った闘技場だったという広間を見回した。今、そこはたくさんの招待客の放つ熱気で、暖炉の炎もかすむほどだ。

「ワイン倉ならまだしも、元は闘技場だったとは。ちょっと歌劇場にも、そうだ、元老院の議事堂にも似ているな」

 カイエンは早速、鳴り始めた楽師たちの演奏を聞きながら、広間の入り口に近い中央から、エルネストやミルドラ、二人の娘たちを引き連れて、入り口の階段の方へと歩き、そこから上を見上げた。

 そこは下の広間から見ると、中二階のようになっており、その上はバルコニーのように広間を見下ろしており、歌劇場のボックス席のように手すりで囲まれてせり出していた。闘技場だった頃はそこが二階席で、二階席の下は中央に丸い戦いの場を設けて、周りは元老院議事堂のように席が囲んでいたのだろう。

 二階の下は、広間を円形に囲む、大理石の丸い柱で支えられており、そこから外へ通じているのだろう、いくつかの開け放たれた扉が見える。その向こうは歌劇場の個別に区切られたボックス席の外の廊下のように、飲み物や軽い食事などを供する場所になっているらしい。

 二階の方は、踊りの場ではなく休憩や見物の場所のようで、そこにも飲み物や食べ物が用意されている。それにあちこちにカーテンが下がって、その影に椅子や小卓が置かれているのは、歓談の場とする為だろう。客にとっては至れり尽くせりの雰囲気である。

 会場のあちこちには、惜しげもなくランプの光がともり、冬だというのに華やかな花が大きな花瓶に活けられて、あちこちで匂いを振りまいている。花は帝都ハーマポスタール近郊で、冬でも貴族たちの御用に応じるべく、温室で育てられている、高価な花を買い占めさせたようだ、とカイエンは聞いていた。

「まあ、ややこしそうな作りだな。……今日みたいな催しにはぴったりだ。よりにもよってこんな広間のある屋敷が、ザイオンの外交官官邸になってたとはね」

 エルネストは面白そうだが、ミルドラの方は本心から嫌そうだった。

「私の若い頃は、レアンドロがこういった派手な催し事が好きでらして。こんな派手で怪しげな宴があちこちで行われていたものですよ。サウルの代になって、兄がこういうことを嫌ったから下火になりましたけれど。……オドザヤ陛下はどっちなのかしらね」

 カイエンもどこからともなく聞いてはいたが、サウルやミルドラの父、カイエンの祖父に当たるレアンドロ帝はほとんど政治に関心を示さなかった。サウルが帝位を継ぐまで、ハウヤ帝国の貴族社会ではかなり怪しげな宴や会合が普通に行われていたのだという。アルウィンが下町で遊び狂っていたのは、ちょうどこの時代の末期で、だから彼は皇子の身でありながらそんな放蕩に耽っていられたのだ。

 サウルが即位してから、政治は再び皇帝の手に戻り、今日のような派手な催しは彼の嫌うところだったので、貴族たちの行いは健全化した。その一方で、サウルは商業ギルドを優遇し、市民の自主的な活動を奨励した。その結果が、現在の読売りの発達であり、ハーマポスタールの自由な空気を作り上げることに繋がったのだった。

 そのサウルの娘、皇位を継いだのは彼の長女、オドザヤ。

 侍女にそそのかされ、今夜、ここへ忍んでくる予定だというオドザヤ。彼女の治世ではどちらになるのだろうか。

 カイエンたち五人は、とりあえずは踊るつもりはなかったので、まあ、会場を探索してみよう、という感じで歩き始めた。彼らは間違いなく、今夜の客の中では一、二の身分であったので、他の客は静かにそれを見送っている。

 カイエンたちがそばを通った時だけ、人々はしゃちこばって、こんな際の挨拶の形式に則り、大仰に挨拶してくる。それへ、もう慣れた仕草で応えながら、五人は歩いていく。  

「伯母様は今日は踊らねえのか」

 広間の上の二階へ上がり、その左側を練り歩いて、カイエンとミルドラ、そして娘二人の後ろから歩いていたエルネストが、飲み物の置かれたテーブルの横で立ち止まった時に飲み物をとってやりながら、そんな軽口をたたいた。ミルドラはドレスと同じ柘榴色の鳥の羽で出来た扇を取り出して、上品に口元を隠した。

「まさかあなたとですか。……冗談じゃありませんよ。新年会の時は、ああした催しの決まりごとでしたから、しようもなく女の敵と踊ることになったのです。あんなことはもう二度とごめんです!」

 ミルドラの声は小さかったが、声の質が尖っていたので、ちょうどそこへ来て、飲み物を給仕しようとしていたこの館の使用人がびくりとした。今夜は男の使用人や女中たちも、仮面を付けているという徹底ぶりだ。

「おやおや、こいつは嫌われたもんだな」

 エルネストはミルドラの言葉など予想していたのだろう、自分が取った琥珀色の蒸留酒のグラスをまるで水であるかのようにぐいぐいとあおる。

「使用人までが、仮面とはな。狸と狐の化かし合いには丁度いいが……」

 カイエンは二階から下の広間を見下ろしてみた。そこではすでに広間いっぱいに男女の踊りの輪が広がっている。高らかに奏でられる曲は、ハウヤ帝国のものが中心だ。そうして見てみると、カイエンたちの仮面はその意匠でこそ目立ってはいたが、仮面で覆い隠した面積、とでも言うべき部分では、それほどに過激でもなかったことが見て取れた。

「あらあら、こうして見ると、かつらや鳥の羽みたいな被り物で、ほとんど誰だかわからないような方々が多いのねえ。これじゃあ、本当に娘たちをちゃんと見ておかなくちゃ、危なくていけないわ」

 ミルドラとカイエンは同じような灰色の目を、仮面ごしに階下の人の渦へ向けていたが、同時に目に入って来たのは、その中でも一際目立つ、エメラルド色と金色の織りなす踊りの動きだった。

 言うまでもなく、それは今宵の主人公であるトリスタンの姿で、相手の女も、彼の他の人々とは振りもキレも違う、彼の難しい踊りについていっている。黒い、豊かな胸とほっそりとした腰を強調するドレスの差し色は、皇宮にある青藍アスール・ウルトラマールの間の壁を彩る、高価なラピスラズリの色を思わせる鮮やかな青だ。栗色の縦に巻いた長い髪を惜しげも無く、大きく開いたドレスから出た白い肩や背中へ垂らしている。その髪が、踊りの中で宙を泳ぎ、なんとも言えない華やかさを振りまいていた。

 また、その仮面も一風変わっていて、それはどうも豹かなんかの動物をモチーフにしたものらしかった。

「踊り子王子の達者さには驚かないですが、あの相手の女性もうまいものですね。どこのご令嬢、いや御夫人だろう」

 カイエンがそう言うと、カイエンの後ろからそれを見ていたバルバラが、慌てたような様子でカイエンの耳元に囁いた。

「あれは……ファティマ、です。なぜ? こんな所にいるはずが……」

「知っているのか」

 とカイエンが聞くと、バルバラはこくん、とうなずく。

 そして、カイエンの空いている右手を取ると、手のひらに指文字でなにごとか書き込んだ。その様子を、エルネストとミルドラも見ていた。

 普通に話せばいいものを、と他のものが見ていたら奇異に思っただろうが、カイエンもエルネストも、そしてミルドラも驚かなかった。カイエンがやや驚いたのは、バルバラが自分の手のひらに書いた文字の内容だった。

「え、あの、バルバラ、それは本当なの?」

 カイエンが訊ねると、今度もバルバラはこくんとうなずいた。その様子を、妹のコンスエラが不思議そうな顔で見ている。だがそのコンスエラの方もすぐに、はっと気が付いたように階下の人々の方へ体を乗り出すようにした。

「あら、危ないですよ!」

 すぐに母親らしくミルドラが注意したが、コンスエラはそれへ恥ずかしそうに振り返った。

「すみ……ごめんなさい、お母様。だって、皆さん面白そうなんですもの」

 屈託のない様子は、いかにも深窓のお嬢様、といった感じだったので、この高貴なる一団の周囲をなんとなく遠巻きに囲んでいた人々も、微笑ましげだ。

「おい、さっきのあれ、本当なのか」

 エルネストは口元を手袋をした手とグラスで隠して、バルバラに聞いた。彼もまた、バルバラがカイエンの手のひらに書いた文字を見ていたのだ。

「本当だとすると、今夜のこの仮面舞踏会マスカラーダ、本当にお嬢さんたちにゃ、危ねえ場所だぜ」

 エルネストが指摘すると、カイエンもうなずくしかなかった。

「招待状のない人間は入れないはずだが、さっきのが本当だとすると、主催者側はともかく、大いに抜け道がありそうだな。まあ、予測の範囲内だから、ガラやナシオたち……他の連中も適当にやって入り込むだろう」

 カイエンは近くにいた使用人に目配せして、琥珀色の光に包まれ、今や踊りの熱気でむんむんとした階下の様子を眺められるよう、小卓と椅子を持って来させた。ちょうどその場所は丸い大理石の柱の影にあたり、上から分厚い天鵞絨ビロードのカーテンが下がっている場所だったので、彼らが座ると歌劇場のボックス席にいるような按配となった。

「あの、ご無沙汰いたしております」

 その時、遠慮がちにカーテンの向こうから聞こえて来た声には、カイエンもミルドラも覚えがあった。

「デボラ様か」

 カイエンが呼ぶと、フランコ公爵夫人デボラの丸っこい、柔和な顔が現れた。彼女ももちろん仮面をしていたのだが、仮面越しでも彼女の慎ましいおとなしやかな人柄は隠せない。彼女の差し色は若草色で、その明るい色に合わせて、黒の絹地の部分はレース模様で下の銀色の絹地が透けて見えた。

「私どもも来ておりますのよ」

 デボラの後ろから顔を出したのは、バンデラス前公爵夫人のサンドラ。そしてその横にはいつものように孫のフランセスクの浅黒い顔があった。二人の差し色は朱色に近い鮮やかな琥珀色で、その色はザイオン人で色の白いサンドラにも、父親に似て珈琲色の顔をしたフランセスクにも似合っていた。

「まあ、早速ですこと。あら、この黒に一色だけっていうの、色がかぶるんじゃないかと心配でしたけど、そんなに被らないものなのねえ」

 ミルドラが言うと、デボラはミルドラの座る椅子の方へ歩み寄って来た。

「ザラ子爵様ご夫妻もお出でですのよ。あちらはご夫婦だから、下で……ほら、あの鮮やかな氷色のお二人ですわ」

 そう言われて、カイエンたちが階下を見下ろすと、確かにデボラが扇で指し示したあたりにザラ子爵とその夫人の姿が見えた。今夜は子爵以上の家の者だけが正式に招かれている。ザラ子爵の弟のエミリオ・ザラは元帥大将軍だが、次男で爵位を持たない彼は招かれていない。

 それは宰相のサヴォナローラや、他の四人の将軍たちにしても同じことだった。

 そして、デボラの夫、フランコ公爵テオドロは、スキュラとの一件で昨年秋からずっと北の領地へ帰っている。

 ミルドラと同じ身の上の彼女だが、フランコ公爵夫妻には子供がいないので、こんな席に招待されても何かと不安なのだろう。

「ご実家のカレスティア侯爵様は?」

 ミルドラはさすがに彼女の実家のことまで、しっかりと頭に入っている。すかさずそう聞けば、デボラの仮面から出ている小さな薔薇色に彩られた唇が、うれしそうに微笑んだ。

「兄も義姉と、それに子供達も連れて来ております。母も来ると申しておりました。もう歳ですけれども、こんな華やかな催しは若い頃に父に会う前に行ったきりだ、などと申しまして」

 なるほど、デボラの母となれば五十代の半ばから六十くらいなのだろう。そのあたりの人々が若かった頃はまだレアンドロ帝の時代で、こんな風な華やかな宴も普通に行われていたはずだ。

「デボラ様、私もここの大公殿下も踊りには参加しませんから、どうぞご一緒しましょう。カレスティア侯爵様にもご挨拶したいわ」

 ミルドラは如才なくそう言うと、もう立ち上がっていた。皆は当然、バルバラとコンスエラの二人の公爵令嬢も立ち上がると思っていたのだが、コンスエラが立ち上がったミルドラを見上げ、蚊の鳴くような声ではあったが、こう言ったのでちょっと驚いた。

「お母様……私も、お姉様もカイエンお姉様と一緒にいちゃいけない? なんだかもう、熱気に酔ってしまって……」

 そして、デボラやサンドラが密かに驚いたのは、このコンスエラの希望を、ミルドラがいとも簡単に許したことだった。

「あら、そう。じゃあ、カイエンにしっかりしがみついているのよ。……そっちの女の敵の皇子様とは話しちゃだめ。いいわね?」

 それでも、ミルドラのエルネストへ向けた言葉は辛辣で、意味深でもあったから、デボラとサンドラだけではなく、さりげない様子でこちらに聞き耳を立てていた、周囲の仮面の人々も、どきりとしたようだ。

「大丈夫ですよ伯母様。今はおとなしくしていますが、美人が誘いに来たらすぐに下の広間へ出て行くでしょうから」

 カイエンは主語を抜いて話したが、誰のことを言っているのかは明白だった。カイエンとエルネストの結婚式が、ごく内々で行われ、エルネストは今宵のトリスタンのようにお披露目もしなかったことは、もう今日ここにいる貴族たちには周知の事実となっていたから、この言葉を聞いた者たちは内心で、「やっぱりね」とでも思ったことだろう。

「一人で動いてはだめよ。お庭の方へ出てもいけません。とにかく、女性の多くいらっしゃるところから離れないの。いいですね」

 ミルドラはそう言うと、二人の娘の顔を順繰りに見てから、デボラとサンドラ、それにフランセスクを引き連れて、階下へと続く階段の方へ向かっていった。最後に、

「フランセスク様には、こうした出会いの場が必要ですわね」

 などというのん気な声さえ残して、ミルドラはいつもなら信じられないことに……娘二人をカイエンに預けて行ってしまったのである。

 ミルドラたちが階下へと降りて行くと、カイエンとエルネスト、それにバルバラとコンスエラの四人には、しばしの間、沈黙が降りた。

 だが、その間も一番若いコンスエラは、ずっと階下の踊りに興じる人々の描く、黒と色とりどりの差し色の渦を見つめ続けていた。黒い衣装を指定して来たのは、こうして上から見て見れば、真っ黒な渦と七色の光の渦が絡まり合っているように見えるからなのかもしれない。そして、それはそれで上からのぞいている無粋な目をも楽しませるものだった。

 だが、カイエンがその黒と七色の渦に見とれていられた時間は、そう長くはなかった。

「……では私は裏門を見てまいりますおお頼んだぞモンドラゴン子爵抜かりはないだろうが用心してな大公軍団の連中も潜り込んでいることだろう」

 いきなり、横に座って手すりから乗り出すように下を見ていた、コンスエラが棒読みのような口調で、そんなことを言い出したからだ。

「イ、いやコンスエラ、どうした?」

 カイエンが訊ねると、コンスエラは下の広間へ顔を向けたまま、小さな声で、こんなことを言った。

「あの方達だけ、口調が違いますし、お声も潜めています。だから他と区別して聞くことが出来たんです。ああ、モンドラゴン子爵と呼ばれた方、広間の脇から外へ出て行きます」

 二階から階下の広間の、それも踊りのために大きく楽団が音楽を演奏している中で、二人の人間の会話を聞き取るなど、普通ならありえないことだ。だが、カイエンはそのことには驚かなかった。

 驚いたのは、その内容の方だ。

「なに!」

 カイエンは慌てて、コンスエラの視線を追う。すると、まさしく白に近い金色の髪をした、軍人のような身のこなしの男が、広間の脇にある出入口へと向かって行くところだった。

「……まさか! モンドラゴンが一枚噛んでいるのか!?」

 驚くカイエンの耳元で、なおもコンスエラは棒読みで言い続けるのだ。

「うまいこといきそうですなモリーナ侯爵いちどきはどうなることかと思っておりましたがこんな展開になって来ようとははははだから女帝などというものは危険なのだあの時あの女を女帝に祭り上げた奴ら特にあの女大公が吠え面かく様を早く見てみたいものだ……」

 もう、コンスエラのそばから階下を見下ろすカイエンも、彼らの姿を目に捉えていた。

「モリーナ侯爵……それに、ベアトリアの大使、モンテサント伯爵ナザリオか……」

 カイエンの目に映ったのは、広間のカイエンから見て向こう側の壁際で、グラスを傾けている男たちの姿だった。

「もう一人いるな、あれは……」

 カイエンは悪趣味な黒死病医師の仮面の奥から、その男の顔を見定めようとしたが、仮面越しではその顔が見覚えのあるものかどうか、定めることができなかった。

「向こうはもう、動き始めたようだ。ちょっと予定よりも早いが、そろそろこちらも動き始めるか」

 カイエンは呟くようにそう言うと、しばらく周りの人の動きを見ていた。たっぷり一杯分のワインを飲みきるだけ待って、エルネストに目配せしてから、やおら立ち上がる。その動きをカイエンを見慣れた者が見ていたら、ちょっと不思議に思ったかもしれない。

「バルバラ、コンスエラ、一緒においで」

 そう言って、歩き始めたカイエンは、杖こそいつものように突いていたが、その足取りは常よりもかなり確かで、ゆらゆらと揺らぐこともなかった。

「細工は流々、仕上げを御覧じろ、と言いたいところだが……」

 強気に言い始めた言葉は、激しい曲調に変わった楽団の演奏にかき消されてしまった。







 同じ頃、ザイオン公邸の裏門で、「家族を出迎えるから」と奥から出て来て待っていた男がいた。

 それは、白に近い鈍い金色の頭髪に、青緑色の瞳をした、年の頃三十過ぎの、整ってはいるが冷たい顔の男だった。姿勢がよく、軍人のようにも見える。だが、今宵の仮面舞踏会マスカラーダには、子爵以上の爵位の無い軍人は招かれていない。

 仮面をしてはいたが、カイエンなどが見れば、その男の正体はすぐに判明しただろう。

「寒い中、すまないね」

 ポケットから出したコインを、それも金色のそれを門番に握らせた男のこの国での称号は「子爵」。

 びっくりした顔で手の中に置かれた金貨を眺める門番へ、今度はうるさそうに、しっしっとでも言うように手のひらをひらひらさせた男の名は、モンドラゴン子爵ウリセスといった。


 モンドラゴン子爵が待つザイオン官邸の裏門へと向かう、一台の馬車があった。それは皇宮から出発したものだったのだが、あちこち回り道をして来たから、もし追跡者があっても途中でまかれていたに違いない。

 オドザヤはザイオン外交官官邸へ向かう、その、無紋の黒い馬車に揺られていた。

 この馬車は、カルメラが手配したもので、実は皇宮内のある人物が関与していたのだが、オドザヤはそんなことには無頓着だった。少し前の、あの皇宮前広場プラサ・マジョールでの親衛隊員と、細工職人の事件の件で、親衛隊長のモンドラゴン子爵を呼びつけた頃のオドザヤなら、この馬車の件一つをとっても、「何かおかしい」と思ったに違いない。

 だが、その清冽な山の原水のようだった彼女の潔癖で真面目な精神は、短い間に変貌し、崩壊しつつあった。

 もう、この頃にはハーマポスタール市内の各コロニア間の夜間の出入りは規制されており、自警団が夜間の見回りを始めていたのだったが、そんなことも皇宮や、ザイオンの外交官官邸があるあたりの「山の手」の貴族たちの住む区画では関係ないことだった。

 市民たちが自分たちの行動が制限され始めた中、今宵、こんな派手な催しが行われ、そこへお忍びで皇帝が潜り込もうとしている、などということが知れたら市民たちはさぞや苦々しく思ったに違いない。

「大丈夫ですわ陛下。モンドラゴン様は抜かりなくご準備していると言っておられました」

 オドザヤの横に座っているのは、侍女のカルメラなのだろう。

 ああ、それにしてもオドザヤはモンドラゴンの名前が出ても、上の空なのだ。モンドラゴンといえば、彼女の即位に反対した、あのモリーナ侯爵たちのグループの一員であったのに。

「私、変じゃない? この髪の色はどうかしら。かつらでもよかったのではなくて。それに、この仮面は目立ち過ぎないかしら」

 オドザヤはもう、皇宮を出てくる前からなんども、今夜の自分の出で立ちを大鏡の前で確かめていたのだが、それでもまだカルメラへそう聞かずにはいられなかった。

 カルメラはドレスの上から黒いフード付きのマントを着ているが、その顔はオドザヤ同様、早くも仮面で隠されている。もっとも、それは万が一、この馬車が治安維持部隊の検問にでもぶち当たった場合を考えてのことだったのだが。

「あらあら、陛下。なんども鏡の前でご確認なさったではありませんか。かつらで来る方も多いでしょうけれど、やっぱり自然な色艶には欠けますわ。頭が一回り大きく見えてしまいますから、お姿もすっきり致しません」

「そうね」

 オドザヤは手袋の上から嵌めた、いくつもの指輪を確かめるように馬車の外のランプの光に透かすようにした。彼女がそんなにたくさんの指輪を指に嵌めるのはこれが初めてのことだった。母のアイーシャだったらそのくらいは日常でも普通のことであったが、彼女には、いくつもの指輪が指を締め付ける感覚は、未だ慣れないものであった。

「お髪はきれいな栗色に染まりましたし、その青藍アスール・ウルトラマールと黒のドレスもとてもお似合いです。それはお髪が元々の黄金色であられた方がもっとお似合いですが、栗色でも金粉を散らしてございますし、いつもと違って巻き髪にしておりますから、とても映えますわ」

 なるほど、いつもは波のようにうねる髪を、きちっと結い上げているオドザヤであったが、今夜の髪型は縦にこてを当てて長く巻かれた髪の房が、結われることなく両肩から背中にまで流れ落ち、そこに金粉がきらめく華々しさだ。

「ねえ、仮面は? 目立ち過ぎないかしら。それに、お化粧が崩れないか心配だわ」

 オドザヤはなおもこだわる。それへ、カルメラは辛抱強く、言って聞かせた。

「ご心配になることなど、なぁんにもございません。陛下はいつもにも増して、その美貌が仮面に隠れていてさえも、神々しいばかりにお美しいのです。さあ、窓の外を御覧あそばせ! きっとあの明るい光が溢れ出ているようなおうちが、ザイオンの官邸でございましょう」

 そこまで言ってから、カルメラはふわっと笑うと、思い出したように言うのを忘れなかった。

「そうでしたわ。陛下、あちらにお着きになりましたら、陛下とお呼びするわけには参りません。かねてよりの打ち合わせの通り、『ファティマ』とお呼びしますので、お間違えのないように」

 オドザヤは素直にこくん、とうなずいた。

「私の名前は、マリーアでございます。私など名乗ることもないでしょうが、お呼びになるときはどうか、マリーア、と」

 カルメラがそう言ったときには、もう馬車はザイオン官邸の裏門に着いていた。慌てた様子で走りよった門番が、馬車の御者を急き立てるようにして中へ入れると、裏門はすぐに閉ざされた。






 ザイオン外交官官邸の半地下の、元は闘技場だった大広間。

 仮面舞踏会マスカラーダの開会が、トリスタンによって宣言されてから、もうそろそろ一時間あまりが経とうとしていた。最初から踊りに興じていた人々は、そろそろ踊り疲れ、壁際の飲み物のテーブルの周りにたむろしたり、広間の脇にあるいくつかの入り口から、軽食の並べられた小部屋へ、そこから池のある大きな庭へ繋がる大きなガラス戸の並ぶ廊下へと出て行く者もある。踊りの熱気で二月というのに小汗をかいた者のなかには、庭へ出て行く者もあった。

 トリスタンは今宵の主人らしく、広間の正面の椅子に腰掛けていたが、執事らしい召使がそっと耳打ちすると立ち上がった。同時に、楽団が先程までの軽やかな踊りの曲ではなく、低く控えめな音量で、重厚な歌劇の曲を奏で始めた。

 先程まで、彼と素晴らしい踊りを披露していた、栗色の巻き髪に青藍アスール・ウルトラマールの差し色のドレスの若い女はもうそばにはいない。

「さあさあ、皆さま。踊りに少々お疲れのかたもおられましょう。ここで、今宵一番最初の出し物をお目にかけましょう」

 広間の真ん中へ出てきたトリスタンがそう言うと、広間の奥の扉が開き、一人の背の高い男の姿が現れた。

 男は口元だけを出した、真っ白な仮面を被り、それと正反対の真っ黒な裾の長い艶のある布地の上着に、真っ黒なズボン姿だ。差し色は……と探してしまうほど、その出で立ちは真っ黒である。上着の下のシャツまでもが黒絹で、首に巻いたタイまでもが黒い。もっとも、それらの黒さには微妙な陰影があって、それが非常に洗練されて見えた。

 やがて、人々の目は、真っ白な仮面の下、黒いタイの根元をまとめている、大きめの宝石に集まった。

 そこに光っている宝石だけが、緑と赤の不思議な色味で光っている。それは、彼の装いの中の、ただ一個の色味だった。やがて、貴族たちはその石の正体に気が付いた。

(まあ、素敵。たった一つのお色味が、金緑石アレハンドリータのタイどめだなんて!)

(くそ、洒落者だな。それも、服だけでなく立ち居振る舞いまですきっとしている)

 金緑石アレハンドリータは、太陽光の下と、ランプの光の下では緑と赤に色を変える宝石である。

 ざわつく観衆の中、男はトリスタンの方へ近付いていく。

 その姿は、足首までほっそりと仕立てられた衣装を見るまでもなく、恐ろしく姿勢が良く、整った体型の男である。真っ白な仮面はなんとも言えない憂いを含んだ男の仮面で、その繊細な作りもまた、素人離れしたものを感じさせた。

 トリスタンはその男が、自分の横まで来ると、ふわっと微笑んで観衆の方へ向き直る。そうして並ぶと、白い仮面の男の方がトリスタンよりも背が高いのがわかった。

「皆さま! 国立劇場のプリンシパル、イグナシオ・ダビラ氏をご紹介しましょう!」

 トリスタンが男を紹介すると、広間中の人々から驚きの声が上がり、どっと湧き上がるように拍手が巻き起こった。

 国立劇場のプリンシパルと言えば、このハウヤ帝国、帝都ハーマポスタールの名士であり、正に言葉通りの花形プリンシパルである。

 そんな人物を呼び出し、こうして皆に紹介するからには、彼はこれからその類まれな喉を披露する、ということに違いない。人々は期待に胸を躍らせた。

 イグナシオ・ダビラを広間の真ん中に残し、すうっと後ろへ下がっていくトリスタンの動きとともに、楽団の奏でる楽曲がその音量を増した。

 そして、プリンシパルの素晴らしい声が、広間中にとどろき渡った、ちょうどその時。

 カイエンはエルネストと、バルバラ、コンスエラの二人を引き連れて二階へ戻ってきたところだった。

「あっ」

 二階の手すりのそばまで歩いてきた途端だった。それが、たった一人の男の喉から出ているとは信じられないような声量、そして喉に楽器でも仕込んでいるかのような豊かな音の階調がカイエンたちのみならず、そこに集った人々すべての体にぶち当たってきた。

 高い天井から、会場の隅々までを琥珀色に照らしあげるシャンデリアの輝き。

 あちこちに置かれた大きな壺や花瓶に活けられた、花々の芳香。

 人々の息遣いと、今、広間の一点に注がれている視線の熱気。

 くらりと目が眩みそうな舞台装置の真ん中で、歌劇のプリンシパルは、豊かに声を張り上げている。

 人々は、陶然として聞き入っている。

 少しも無理をして張り上げているようには見えない、無造作な立ち姿から、このハウヤ帝国の栄光、豊かに満ち足りた帝都ハーマポスタールの芸術と文化の豊潤なる成果が広間の空中へ織り出されていくのを。

 それは、今が盛りの満開の花が、美しさの頂点を誇っているかのようで。

 人々は、ただただ圧倒されて見ているしかなかった。 



 時間がかかってすみませんでした。

 その分、内容は凝っているつもりです。

 すべての人たちが怪しい動きをしております。次回、それがどう展開するのか、上手く描けるかなあ、と今から心配です。

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