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契約と命

今回、グロくはないです(作者判断では)が人によっては不快になるかもしれません。

微グロ?注意です。

クリスタルウルフどもと私の間に氷の壁が現れる。

クリスタルウルフどもは氷の壁を壊そうとしてるが、壊れないだろう。

後ろからは冷たい、神々しい(・・・・)気。



「お兄さん、人外だったんですね」


「ああ」



肯定したお兄さんが私の前へと移動し、向き直る。


地面につきそうなくらい長い銀髪は癖が無く、水晶からの光を反射する。

どこまでも澄んだ、深く蒼い瞳。

雪みたいに白い肌。

綺麗な顔立ちでモデルと同じくらいスタイルがいいのは変わらない。

服装はかなり変わった。

薄い、白い衣は日本神話に出てくる神々のもののようなもので胸と腰、手首と足首に薄い鎧をつけている。冷たい気を放つこの人は、確実に人間じゃない。

人間は氷属性を持つ者でも、ここまで凍てつくような気を放つことは不可能だ。

人間の中で出来るのは人外の血を濃く者くらい。



「人間の娘よ」



涼やかな声が響く。

その顔には感情の消えた無表情。



「力は欲しくないか?」



力……。

それはどういう意味のもの?

身体能力?

頭脳?

魔力?

才能?

技術力?

どれも、違う。



「私が欲しいのは、武器」



レインとともに戦えるような、武器。

他のものは努力すれば自力で手に入れられるものが多い。

武器は微妙に違う。

確かにそれも手に入れられる。

それも努力しなくとも簡単な時があるほど。違う場所に行けば武器の種類も変わり、値段も違う。

扱う者によっては武器が違う。


でも私が欲しいそれと違うのは、レインがここにあると教えてくれた武器。

それは一つしかないもので、どんなものなのかまったく分からない。

それを私が扱えるかもしれないと思い、ここに来ようと言ったのかもしれない。

……扱えない可能性の方が高いが。



「私はね、力よりも武器が欲しいの。それに修行をしたことのない、あまり実戦経験のない小娘がいきなり素手で戦うなんて無理だしね」



言ってから気づく。

私、敬語使わなかった……。

青ざめる私とは対照的に、お兄さんはいつの間にか俯いて肩を震わせる。

……あの、凶暴なクリスタルウルフどもがドン引きしてるんですが。



「本当に…面白い…」



あ、笑ってたのか。

顔を上げたお兄さんは、笑んでいた。

そのまま私の、ナイフを持つ手とは反対の手を掴む。

ひんやりとした、氷のような体温。



「娘よ、契約しよう。私はお前を主としたい」


「え…」



戸惑う私をよそにこちらの目線に合わせるため、お兄さんがしゃがむ。

妖しく蒼が輝く。



「娘、名は」



氷の壁が消える。

チャンスと見たらしくクリスタルウルフどもが私達へと向かう。



「私の、名前は…」



お兄さんの頭に先頭にいたクリスタルウルフの爪が迫る。



「天宮月華」



爪がお兄さんの頭へ触れる寸前。

お兄さんは嬉しそうに笑みを浮かべた。

この瞬間、この人の正体を理解した。



「――我が名は鈴蒼レイソウ、今この瞬間トキから天宮月華。貴殿を主とし、武器となろう」



氷を含む、神通力・・・の竜巻が私達を中心にして起こる。

クリスタルウルフどもは竜巻に吹き飛ばされる。




しゃらん…




鈴の音が響いた。

右腕に冷たいものが埋め込まれるような、刻まれるような感覚がする。




しゃらん…




再び鈴の音が鳴ると、竜巻が消える。

右手にはナイフは消えていて、代わりに刀があった。

蒼い刀身は向こう側が透けて見え、持ち手と飾り糸は真っ白。

綺麗な刀だ。

素直な感想はそれ。


ぐるる、と唸り声が聞こえる。

そちらを見ると完全に怒り狂ったらしきクリスタルウルフ。

体が勝手に動く。

この刀が勝手に動かしてるのだろうか?


クリスタルウルフの牙や爪を刀で払い、時折こちらからも攻撃する。

血が、流れる。

クリスタルウルフを斬るたびに血は流れ、肉と骨を断つ感触が伝わる。

そして首に狙いを定め、一気に切り落とす。






この世界で初めて、この手で命を奪った瞬間だった。





 

あんまり戦ってません、ね…。

バトルを期待の方、申し訳ありません。

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