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気弱な婚約解消

作者: ぺいた
掲載日:2026/05/19

「クラウディア」


「はい?」


「その…あの…」


「はい」


「なんだ…えーとほら…なんていうか…」


「はい」


「……」


「……」


いや言いたいことあるならさっさと言えよ。

我が婚約者ながら、うじうじうじうじうじうじしててイライラする。

こんなんが王太子だなんて、この国の将来が不安だわ。


「あの…」


「はい」


「もうすぐ…卒業式だよな?」


「そうですね」


「……」


「……」


だからなんだよ? 言いたいことはわかってるけど、そのくらい自分の口で

言えよ、と思っているので黙って殿下を見る。


「エスコートを…」


「……」


「その…」


「……」


「だめ…かな?」


いや何がだよ! 動詞どこ行ったんだよ!

こめかみの血管がぴくぴくいってるけど、ひきつった笑顔で問いただす。


「何をおっしゃってるのかわかりません」


「……」


「……」


「その…」


「……」


「別の…令嬢に…」


「は!?」


「ひっ!」


ちょっと強い声で聞き返しただけで、殿下は「気を付け」の体制で硬直した。


「な、なんでもない、時間を取らせてすまなかった…」


何しにきたんだよ…。あわてて立ち去る殿下の後ろ姿を見ながらため息をつく。


たぶん殿下は、お気に入りのピンクブロンドの子爵令嬢をエスコートして

卒業パーティーに出たいんだと思う。

そして私に婚約解消を申し出たいんだと思う。

だけど私が殿下にビシバシ説教するような性格だから、怖くて言えないの

だと思う。


あんなに気が弱いんだもの、そりゃ私みたいな性格の女といるのは

息が詰まるでしょうね…。


だから「婚約解消もやむなし」と思っているのだけれど、向こうが解消

したいのに、私から願い出るのもなんか腹が立つので、自分で言うまで

ほっとこうと思っているんだけど、もう3日続けてこの会話だ。


まあでも、今日は「別の令嬢」まで言えたから、少しは進歩してるのかもしれない。


卒業パーティーまで1週間。なんとか解消まで言えるといいね。

大勢の人が集まるパーティー会場で宣言するのとか無理だもんね。

その前になんとかしないとね。


翌日、学園の中庭で休んでいると、また殿下が近寄ってきた。

なんだかもうひな鳥を見守る親鳥の気分で、殿下が声をかけるのを待つ。


「クラウディア」


「はい」


「……」


「……」


「あの…その…」


またここからかよ!

つーか、殿下にコナかけた子爵令嬢は何してんの。

殿下に寄り添って「殿下ぁ、クラウディア様に睨まれて怖いですぅ」とか

なんとか言って甘えれば、殿下だってフンガーってなって勇気が出せるでしょうに。


そう思ってあたりを探してみると、柱の陰にピンクブロンドが見えた。

うわー、柱の陰で不安そうな顔でこっちを見てる。

飛雄馬を見守るアキコねえちゃんかよ、と思ったけど、若い子には通じない

気がするのでスルーしてください。


ってよく見たら国王も隠れてない? あっ王妃も!

第二王子も王女もいるじゃん! なにこれ! 王家総出の応援??


どういうことよ?? 国王も婚約解消を望んでるってこと?

王命なのに??


なんか悲しくなってきた。殿下にふさわしい王太子妃になるために、

王太子妃教育もがんばってきたのに。殿下に厳しい言葉をかけるのだって、

殿下のためだと思うからこそだったのに。


こんなにみんなに嫌われてたの?


「クラウディア!?」


「うっ」


こんなとこで泣くなんてみっともない。みんなが見てるのに!

そう思うのに、悲しくてくやしくて涙があふれて止まらない。


「おバカーーーーーーーーーーーーー!!」ばちーん!


「!?」


木陰に隠れていた王妃様が飛び出してきて、殿下にビンタした。


「何泣かせてるのよ! ちゃんとしなさい! ばかたれが!」


「は…母上…」


「自分の! 気持ちを! 自分の言葉で!」


いや…ちゃんと婚約解消とか、殿下の言葉で言われたら、もっと泣くと

思うんだけど…。

周りの応援は止まらない。


「男を見せるときだろうが!」

「兄上! みんな兄上の味方です!」

「そうですお兄様! やればできます!」


なにこれ…どんなイジメ?


「そうです殿下! がんばってください!」ピンクブロンドまで参加してきた。


くっそー! もう泣いてやるー! そしてこんな国、出てってやるー!

と決心したところで、殿下が叫んだ。


「クラウディアが好きだーーーー!」


は?


「やっと言った!」

「よかった!」

「もうひやひやさせて!」

「わーん心配させてもうー!」

「よかったですう!」


え?


「どうか! 卒業パーティーでエスコートさせてください!」


跪いて頭を下げ、右手を差し出してきた。


ポカンとして動けない私に、不安になったのか殿下が頭を上げて


「だめ…かな?」と聞いてくる。


「いやそんなわけないでしょ! 婚約者なんだから!

むしろ率先してエスコートしてくださいよ!」


あわててそう返すと、「よかった…」とほっとした表情を見せた。


「でも殿下、別の令嬢をエスコートしたかったんじゃ…」と

ピンクブロンドを見ると、


「うわーやっぱり! ほら! だから誤解されるからって言ったのに!

殿下は、クラウディア様の前に出ると、緊張で声が出せないことを

相談にいらしたんですよ~~」と言って殿下をにらみつける。


「だ、だって…」口ごもる殿下。


「だってじゃないです! 婚約してから3年もたつのに、何も

言ってないなんて、不安になるのが当たり前です! 言葉にしないと

伝わらないこともあるんですよ!」


「は、はい…」


きのうのあれ…「別の令嬢に…」の続きは「相談したんだ」

だったの??? もしかして!?


「あっすみません! わたくしったら殿下に向かって偉そうな口を!」

「いいのよ! 学園では同級生なんだし! お兄様ったらほんとに

ヘタレなんだから!」

「ほんとだよ! ひとめぼれだったくせに!」

「わたしも王妃に脅されて告白したから気持ちはわかるが…」

「まあそんな昔のことを、ほほほほ」


「やっと言えたのですか」ガサガサと草むらから側近が出てきた。

「これで一安心だな」えっ宰相まで?

「卒業パーティーが楽しみだな!」騎士団長もいらしたんですか…

「殿下ー! おめでとー!」同級生がわらわらと…

どんだけ見守られてたの殿下…。


よかったけど…婚約解消じゃなくてよかったけど…

雰囲気は大団円なんだけど…

「この国…大丈夫かな…」と不安になった私だった。

適当な知識で適当なこと書いてますすんません。

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