雨は上がる ▶︎お家が消えた
「雨漏り2箇所あったミャー」
「お夕飯作ったニャー」
ナナヤとルルルフは暖炉のある教室に戻ってきて、暖炉の前で温まる。
「ありがとにゃにゃ」
ピシャッ ドォオォォォン
「すまにゃ……ぎにゃっっ!!!」
先生・生徒カーチェたちが礼を言いかけている途中、大きな雷が鳴り、全身の毛がぶわっと逆立った。
「おまえにゃんたち、何でヘーキにゃんか?」
サビ柄のカーチェが耳を押さえながら、丸まって質問する。
「ナナヤは、雷を発するモンスターだって狩れるミャ!」
「ルルルフは、カミナリダケの採取沢山してるニャ!」
雷耐性があり、そこまで怖くないと言いたそうだが、「そういう事だろうか?」と、他のカーチェたちは疑問に思う。
その後、みんなでルルルフが作ったネコムギのスープ粥を食べる。
「学校でお泊まりって不思議ニャー」
「暗いと学校も一味違って見えて、すんごい面白いミャ!」
雨と雷の中、超絶マイペースで呑気な2匹に、周りのカーチェも段々とリラックスするようになった。
「ルルルフ、ご飯作ってくれてありがとにゃん」
「どういたしましてニャ!」
「ナナヤ、見回りありがとだにゃご!」
「お安い御用ミャ!」
落ち着きを取り戻した事で、いつものカーチェたちに戻っていく。そして、みんなでむぎゅむぎゅと固まって眠った。
翌朝、雷は鳴らなくなり、雨の勢いは少しだけ弱くなったものの、まだ土砂降りと言える雨だ。
「雨が弱まるまで、学校にいなさいにゃ〜」
先生の言葉に全員「はーい」と返事をする。
ルルルフは、刺繍入りエプロンを作ってくれたカーチェのところに行き、刺繍を教えて欲しいとお願いをする。
「ニャン? 刺繍をしてじゃなくてニャン?」
「ルルルフ、刺繍をやった事ないから、やってみたいニャ!」
「わかったニャン! 教室にお裁縫道具取りにいきましょニャン」
こうやって自主的に勉強する勤勉なカーチェがいる事に、先生カーチェはニコニコしながら頷く。
「センセー! 雨漏りしてるトコって、どうするんだミャ?」
雨が上がっても、また次に雨が降ったら雨漏りしてしまうだろうと気になったので、ナナヤが手を挙げて質問をする。
「穴があったり、屋根に隙間があったりするので、そこを修理するんにゃ〜よ」
「雨が止んだらするのかミャ?」
「あぁ、そうにゃ〜よ」
「ナナヤ、やってみたいミャ!」
「おれっちもやってみたいミー!」
活動的なカーチェたちが、新しい事に挑戦したがる。
普段の座学もこのくらいの意欲が欲しいが、全員が同じである必要はない。
先生カーチェは、雨が上がって晴れた日が続いて、屋根が乾いたら修理をするので、その時に手伝ってくれるようお願いした。
カーチェは揃って手を上げ返事をする。
こういう素直なところは、まだ仔カーチェらしくて可愛い。
先生はふにふにの肉球を使い、カーチェたちを撫で回す。
まだ外は暗めだが、お昼前に雨は止んだ。
「さ、片付けて帰りますにゃ〜よ」
「「「「はーい」ミャ」ニャ」ニャン」
村の広場まで先生カーチェが引率をして、生徒たちの安全を確保・確認しながら送り届けた。
おとなカーチェが幾匹かやってくる。
大きいお風呂を持っているお家のカーチェは、まず子供たちを風呂に入れた。服を作るのが得意なカーチェが着替えを用意して、お洗濯好きなカーチェは、昨日濡れたであろう仔カーチェたちの服を持って帰る。
次に別のカーチェはお昼を提供し、と手厚く面倒を見てもらい、各々家に帰る。
=・ω・=・ω・=・ω・=
学校は3日休校らしい。
ルルルフは、明日の予定は採取、明後日は家事……と頭の中で組み立てていく。
「よし、食材を買うニャ!」
採取したものだけではなく、村に売っている物も買ってバランスのいい食事を作る。
「ネコメも、もうすぐ無くなるニャ……」
米びつには、あと1食分のお米しかなさそうだ。
他にも調味料とか足りないものを確認し終わると、交換する品物を入れたカゴバッグを持って家を出る。
お昼と夕方の間な時間なので、お店はまだ開いているし、ちょうど買い物時である。
「ミャっ!」
家の扉を開けたら、シュッと手を上げて軽い挨拶をするナナヤが目の前にいた。
「どうしたんニャ?」
「雨と雷でお家が壊れてたから、泊めてミャ」
軽くサラリと、とんでもないことを言う。
世話したがりな大人カーチェたちを振り切って、ルルルフの家にやってきたようだ。
「家にカミナリが直撃したみたいミャ!」
「災難だったニャね、それは……。お泊まりするのは全然いいニャよ。でもまずお買い物ニャ」
「わかったミャ」
トテトテと歩いて一緒にお買い物へ行く。
「カミナリでお家が壊れて、ほとんどが焦げ焦げミャ」
家が片付いていようが、散らかっていようが関係なく、ほとんどが燃えカスらしい。
大雨のおかげで火が燃え広がる事なく、近所の家に被害がないのが不幸中の幸いだと、ナナヤは笑う。
「学校お休みしてたら、こんがりネコが完成してたんだミャ」
「ナナヤが学校おやすみする時は、狩りに行ってるニャ」
「それもそうミャね」
買い物をしていると、さまざまなオマケがもらえる。
家が丸ごと無くなったナナヤには、服や生活用品、すでに村を出たカーチェが使っていた勉強道具なども貰えた。
ルルルフには、採取した品をもらった人々が、お返しと言わんばかりにオマケしてくれる。
カゴバッグに入り切るわけもなく、荷車をナナヤが引いて、後ろをルルルフが押して家に帰った。
「どのお部屋使うニャ?」
「階段下の空いてる部屋がいいミャ」
「そこは納戸ニャよ。そして、掃除道具のお部屋ニャ」
空いている部屋をナナヤの部屋にした。お泊まりでは無く、住んでもらう方がナナヤも安心するだろう。
「ミャ?! ここ、ルルルフのパパママのお部屋ミャん!」
「でも、空き部屋ニャ」
「思い出の部屋を、ナナヤの部屋にしちゃいかんミャ」
「お部屋は飾りじゃなくて、お部屋ニャ。使ってくれるカーチェが居てこそニャし、パパママもそっちの方が嬉しいはずニャ」
これがお部屋の役割だ、とルルルフは満足そうに笑った。




