猫ヨガ ▶︎バケツ雨
挿絵があります。
ご飯をご馳走になった家で、そのままお風呂も使わせてもらうと、寝床も用意してくれた。
カーチェは面倒見が良いので、約束をしていなくても誰かにご飯を出したり、寝床を提供したりする。そして、みんなその好意をありがたく受け取る。
お日様の匂いがするお布団を掛けてもらい、ルルルフは眠りについた。
=・ω・=・ω-=-ω-= Zzz
「ルルルフ、ねーこ先生がきたから、診てもらうのにゃぷよ」
翌朝、昨晩泊めてくれたカーチェが起こしにきた。本猫は大丈夫と言っているが、見えない所を怪我して、気づいていない可能性もある、と医者を呼んでくれたようだ。
「ニャ! ありがとうニャ」
医者に詳しく診てもらったが、特に何処も心配するような怪我はしていないとのこと。
大人のカーチェたちもホッと一安心だ。
「ほら、ルルルフ。学校あるんだろう、お弁当にゃぷよ」
「ありがとうニャ。申し訳ニャいんですが、昨日採取した物、みんニャに届けてほしいですニャ」
「あぁ、わかったにゃぷよ。やっておくから、しっかり学校でお勉強するにゃぷよ」
「はーいですニャ」
ルルルフはまだ仔カーチェだが、1匹暮らしなので、周りのおとなのカーチェは心配して、自分の家に住まわせようとしてくるが、両親が残してくれた家に住みたいと、今より更に小さい時から、1匹暮らしを始めた。
そういう仔カーチェは幾匹か居るので、ルルルフだけが特別扱いされているわけではなく、周りの成猫カーチェは、仔カーチェに気を配っている。
――自分がおとなになった時に、周りを助けてあげてね。
小さい頃からそう言われて、仔カーチェは育つ。
今はたくさん甘えて、お世話になったカーチェに恩返しができるように立派になろう。
そして、自分より小さいカーチェが甘えれるような、頼れるカーチェになろうと、ルルルフは頷いて学校へ向かう。
=・ω・=・ω・=・ω・=
学校では、生徒カーチェたちから、心配の声が口々にあがった。
ルルルフが村へ帰ったのは、本来なら仔カーチェはすっかり夢の中にいる時間である。
ナナヤは眠たい目を擦りながら、ルルルフを待っていた。それなりに夜更かしをしたため、ナナヤはあくびを連発する。
「さて、みにゃ〜さん、おはようございますにゃ〜よ」
教師のカーチェがやってきて、朝の挨拶をする。
日常のはじまりだ。
「今日は、午前中は運動、その後マッサージの授業にゃ〜よ」
「「「「はーい」ですニャ」だミャ」にゃん」
=・ω・ノノ =>ω<ノノ :=;ω;ノノ:
「思ってた運動と違うミャ!」
「猫ヨガたのしーニャ!」
ゆーっくりとポーズを決める猫ヨガは、体がほぐれて温まる。伸びとポーズが出す筋肉への刺激が心地よいルルルフ。
ナナヤは終始プルプルしっぱなしだ。
「はーい、10秒かけてー、パパンピッピのポーズにゃーんよー」
パパンピッピという魔物の鳥を、体で表すポーズをゆっくりとした動作で行う。
「はーい、次は10秒かけてー、フィフィヨッラのポーズにゃーんよー」
「どっちも鳥ミャん!」
フィフィヨッラも魔物の鳥だ。ナナヤからツッコミが入る。
片方は腰を曲げて顔を上げる、もう片方は腰を逸らして首を突き出すポーズだ。
「体がーーーーのびーーーーるぅーーみゃーーーん」
声も体も伸ばして、ほぐれていくカーチェたち。
学校の運動場で行っていたが、突然、雨が降り出した。
ポツポツと当たったと思ったら、ドシャーッと降ってきて、みんな慌てて校舎に戻る。
玄関ポーチでぶるぶると体を振るうカーチェたち。
「ミャ〜 ずぶ濡れミャ」
「すぐにどっちゃり降ってきたから、雨の気配気づけなかったニャね」
校舎内にいた先生カーチェがタオルを持ってきて、毛の長い子から拭いていく。
「バケツをひっくり返したような雨だにゃにゃ」
「いきなり暗くなったから、ビックリにゃこねー」
雨が止まず、降り続く。
全員の毛がタオルで拭かれた後、暖炉のある教室で風邪をひかないように温まる。
お昼ご飯の時間が終わっても、まだ土砂降りの雨は続く。
窓の外がカッと白くなり、すぐさまズドドドン! と轟音が鳴る。
「「「ギニャー!!!!!」」」
聴覚が優れているカーチェたち。先生も生徒も、ビックリして毛を逆立てしまう。
みんなで床にぺたりと這いつくばって、耳を押さえて、むぎゅむぎゅ集まり、かたまってブルブル震えていた。
そんな中、ケロリとしていたのが、ナナヤとルルルフだった。
「ナナヤ、雨漏りしてないか見てくるミャー!」
ピシャッ ドオオオン
「わかったニャ! このままだと帰れニャさそうだから、ルルルフはお夕飯でも作るニャー!」
「頼むミャ!」
カッ ドドドン
光って轟音が響く中、トテトテと駆け出すナナヤとルルルフ。
おとなのカーチェですら、ぶるぶる震えているが、そんなのお構いなし、マイペースに行動を始め出す。
「にゃ、にゃんであいつら、平気にゃんだ……」
「フサ猫せんせー白目むいてるにゃこ!」
ピシャッ ドオオオン
「「「ぎゃにゃーーー!!!」」」
生徒も先生もブルブル震えていた。
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30分以上雷が断続的に鳴り響き、もちろん雨も止まずに降り続けていた。
川の水が溢れてしまう危険があり、やはり生徒たちは学校に残される事になる。
学校から、光信号を村へ送る。
キケン コドモ ヒナン
光信号を受け取った村のカーチェも、光信号を返す。
タノム
=・ω・=・ω・=・ω・=
「雨、長いニャんねー」
呑気に鍋をかき混ぜながら、ルルルフは窓の外を見る。窓は水が常にダバダバ流れていた。
「教室が雨漏りしてたから、バケツ置いてきたミャ!」
稲光の後光がカッと差す中、どやぁ! と顔を決めて、ナナヤが調理室に入ってくる。
「お疲れニャん! お夕飯できたニャ!」
ルルルフも稲光の後光を背負い、ドヤ顔を決める。
お互いトテトテと近づきハイタッチだ。
「ちょっと冷えてきたニャ。暖炉のある教室に戻ろうニャ」
「確かに寒くなってきたミャ」
ルルルフとナナヤは手を繋いでスキップしながら、みんなのいるところへ戻っていった。




