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カルト宗教がとんでもない悪行を重ねまくっている件に関して小説化してみた  作者: フランスのセクトは破壊的カルトと同じ意味合いらしい
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探偵ではありません。あくまでも創成教会というカルト宗教のお話です。

 愛知県本部教導部長高杉真一は守屋総本部の本部長に電話した。

 総本部の役職者もやはり殆どが教会職員の為、総本部施設に常駐している。


『はい、創成教会守屋総本部長の菊池です』

「いつもお世話になっております。創成教会愛知県本部教導部長の高杉でございます」


 教導部からの電話となれば、ライバル教団の偵察か、個人情報の収集か、内容はその辺りしかない為、何をしろという話なのかは大抵察しがつく。


『これはどうも。いつもお世話になっております』

「お忙しいところ恐れ入ります。本日はお願いしたいことがありまして、お時間よろしいでしょうか?」

『大丈夫です。何をすればいいですか?』

「菅原太茂津という人物の個人情報に関して、徹底的に収集して下さい。今わかっている情報はFAXでそちらに送ります」

『わかりました。では遅くとも1週間後までには情報を上げます』

「宜しくお願いします」


 高杉は受話器を戻さず、そのまま名古屋総本部の本部長に電話した。


『はい、創成教会名古屋総本部長の加藤です』

「いつもお世話になっております。創成教会愛知県本部教導部長の高杉でございます」

『高杉さん、いつもお世話になっております』

「お忙しいところ恐れ入ります。本日はお願いしたいことがありまして、お時間よろしいでしょうか?」

『はい。ご用件は』

「菅原太茂津という人物の個人情報に関して、徹底的に収集して下さい。今わかっている情報をFAXでそちらに送ります」

『わかりました。一週間以内に情報を上げます』

「宜しくお願いします」


 両総本部の動きは迅速だった。


 まずは守屋総本部だが、菊池総本部長が黒居中学校を領域とする黒居本部に電話し、そこから更に、関連する支部、地区に指示が下りて、菅原と同じ小中高校の卒業生の教会員が特定され、連絡が回った。


 地区長が彼らから聞き取りを行い、菅原の小中高大学時代の知人、友人を特定、現住所と電話番号を取得し、面識のある教会員を使って菅原の性格、趣味趣向、交際した彼女の名前、学生時代の出来事など、個人情報を可能な限り掻き集めた。


 教会員と面識がない、あったとしても関わり合いの薄い人物に関しては、創成教会が調査していることに気づかれ、漏れ伝わる可能性がある為、やらない。


 名古屋総本部では、加藤総本部長が菅原の自宅を領域とする名古屋中央本部に電話し、そこから関連する支部、地区に指示が下りて、自宅周辺の教会員らから地区長が聞き取りを行った。


 菅原の自宅周辺の評判、日頃の行動、発言、付き合いのある人間、行きつけの店の割り出しを行い、支部に属する全教会員に入手した現在の菅原の写真を見せ、見かけたことはないか、見かけたとしたらそこはどこだったのか問うことまでした。


 両本部長の発言通り、一週間以内に相当な量の個人情報が高杉に上がってきた。


 高杉は部下である教導部統括の伊藤秀樹を部長室に呼び出した。

 統括というのは県本部の教導部員を束ねる現場の責任者に当たる管理職である。


「部長、ご用件は?」

「菅原太茂津に関する個人情報の収集だ。今まで集めた情報を後で渡す」

「承知しました」


 教導部員は二人一組で行動する。現時点で菅原の知人、友人と判明しているが、聞き込みのできなかった人物に対し、探偵の調査を偽装して聞き込みを行う。無論、菅原を調べているのでなく、別件の調査で彼を調べる必要が出た、という体で、だ。


 教導部員は教会員の刑事から調査方法の講義(レクチャー)を受けているだけでなく、元探偵や元警察官もおり、調査能力がかなり高い。不審に思われないように個人情報を取得する術に非常に長けている。


 行きつけの店舗などでの聞き込みも完全に終わったは、二週間を少し過ぎた頃だった。

 高杉は掻き集めた全ての個人情報を、会長秘書室の藤村富政に報告した。


「もしもし、藤村だ」

『いつもお世話になっております。創成教会愛知県本部教導部長の高杉でございます』

「おお、高杉くんか。ということは集まったな?」

『お出しできる水準に達したものが出来上がりました』

「仕事が早いな。きみの名前はよく覚えておくよ。今度の人事異動で上に上げてやる」

『お褒めの言葉、恐悦至極にございます。身に余るお言葉で、まだまだ未熟ですが、引き続きご指導のほどよろしくお願いいたします』

「その謙虚なところが更にいいね。今後とも頼んだよ」

9月3日21時20分

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