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カルト宗教がとんでもない悪行を重ねまくっている件に関して小説化してみた  作者: フランスのセクトは破壊的カルトと同じ意味合いらしい
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哲夫は創成教会という恐ろしいカルトの活動家信者だった。

 哲夫は創成教会そうせいきょうかいという仏教系カルト宗教の信者だった。

 しかもただの信者ではなかった。

 創成班そうせいはん宣布部せんぷぶという教会内の非公然秘密組織のメンバーだった。


 活動内容は敵対者に対する組織的なストーキングと嫌がらせ、ガスライティング。

 及び、それらの実行でターゲットを自殺に追い込んだり、精神障害を発症させる。

 それに失敗した場合には、精神障害者にでっち上げ、社会的に抹殺する。


 創成教会は大教団で、人口の6%、700万人近い信者を有する。

 哲夫が暮らす物野部市は人口30万だから、単純計算で1万8千人の教会員がいる。


 創成班宣布部のメンバーは、その教会員を役割別にチーム編成し、各チームに対して指示を与え、実行させる指揮官のような役割をしている。


 考えてみて欲しい。


 単なる一市民が、大多数は面識すらない、同じ市に住民として暮らしているだけの、赤の他人に過ぎないカルト宗教の信者1万8千人から、集団で組織的にストーキングと嫌がらせ、ガスライティング被害に遭ったらどのようなことになるか。


 しかも創成教会は政治部門を政党化し、公正党と命名して地方議会選挙や首長選、国政選挙に候補を大量に擁立。同党は現在では国会に80名、地方議会に8500名もの議員を擁する中政党として君臨し、戦後、殆どの期間を与党として君臨してきた自由保守党と連立を組み、政権党の地位にある。


 つまり政権政党の支持母体なのだ。

 おまけに自由保守党は社会構造の変化に対応できず、党組織が脆弱化し、単独では政権を維持するのが困難となっており、創成教会の票と金への依存を高めている。


 警察は政治に弱い。こと内閣府がキャリア官僚の人事権を掌握するようになってからは、警察庁の警察官僚が官邸の犬のような動きをし、政権党の政治家から依頼されれば、犯罪の揉み消し、不当逮捕まで平気でやるようになった。


 公正党は警察の圧力団体であり、政権党になる以前から、地方議会や国会でうるさ型として警察庁と警視庁・道府県警を震え上がらせ、警察庁内の国会対策部門と都道府県庁の議会担当部門はわざわざ公正党担当を設置し、熱心に同党対策を練っていた程であった。


 そんな連中だから、当然、警察への根回しは済んでいる。


 創成教会の嫌がらせの被害に遭った敵対者が地元の警察署に駆け込んでも「被害妄想じゃないんですか?」と門前払い。創成教会と関連した嫌がらせ被害の相談は受け付けるなと昔は署長が直接現場に指示を出していたが、今では当たり前のようにそのような対応が取られている。


 創成教会に喧嘩を売れば、警察内部での昇進、昇任が絶望的になるからだ。

 だから出世したい警察幹部は絶対に創成教会関連の事件は取り扱わない。


 万が一、取り扱った警察官はどのような運命を辿るのか。


 創成班宣布部の餌食になる。警察官なのに組織的なストーキング被害に遭い、嫌がらせの被害にも遭い、ガスライティング系の被害にも遭う。ところが警察組織は彼(彼女)を助けない。


 過去の自殺したり、精神障害が原因で傷害事件を起こし、懲戒免職となった警察官の中には、創成教会に立ち向かった、勇敢で、正義感の強い、まともな人も含まれている。そんな人に汚名を着せ、名誉を奪い、回復もせずに放置している――これが現代日本の真の姿だった。


 哲夫のマインドコントロールが解けたのは些細な出来事からだった。


「哲夫くん、どう見ても不幸になっているよね」


 カフェでだべった大学時代の女友達からそう言われたことがきっかけだった。

 普段なら激高するところだが、何故かその日は、そうはならなかった。

 考え込んでしまったのだ。


 実際、哲夫の周囲では不幸が相次いでいた。

 父の経営する会社が倒産し、5000万の借金を負い、病苦の母は不倫相手と蒸発。

 自身も遺伝性の難病を罹患している事実が判明し、月一で病院に通っている。

 両親の不仲が原因で不良になった弟が、遂に詐欺で実刑を食らい、収監された。


 信心すれば運命が変わり、人生が好転するのではなかったか?

 教会にお布施した金があれば、借金苦になどなっていなかったのではないか。

 自分が病気になったことで、ようやく、マインドコントロールが解けたのだ。


 しかし哲夫は、もう後戻りのできないところまで来ていた。

 創成班宣布部員として、何人もの敵対者を自殺に追い込んだり、執拗なガスライティングで精神障害を発症させ、社会的に抹殺してしまったからだ。


 自分が地下鉄サリン事件を起こしたオウム真理教の狂信者達と何ら変わりない、たとえ刑法では罪に問えないことを行っていたのだとしても、自身がただの凶悪犯罪者でしかないという自覚を、彼は持っていたのだ。


 だが、運命とは過酷なもので、更に追い打ちをかけてきた。

 なんと彼は教団の二重帳簿を発見してしまい、不正経理の証拠と、非合法活動の資金捻出方法についての秘密を知ってしまったのだ。

次回は8月30日22時10分投稿予定です。

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