警狼ゲームの新たなる始まり 9
翌日、ホテルから由衣と省吾が山形県警へ行くのに合わせて将と翼も同じように部屋から出た。山形県警本部はJR山形駅を挟んでホテルとは対極にあり将は駅で由衣と省吾の二人と別れると翼と共に列車に乗って天童南へと向かった。
山形県総合運動公園は天童南駅と天童駅の間にあり、徒歩10分歩であった。が、だがしかしであった。
将はコートを羽織って歩きながら周囲を見回して
「すっご」
と呟いた。
周りは一面白銀世界である。道路は一応雪がどかされているがその雪が壁のように歩道の横手に聳えているのである。東京にも勿論冬になると雪は降るが、ここまで降ることはほぼない。
翼も歩きながら
「滑るなよ」
と注意しかけて、アワやと足を滑らせた。
将は慌てて翼の手を掴み転倒を防ぐと
「俺たちの方がヤバいな」
と笑った。
翼も苦笑いをしながら
「サンキュ」
と言いながら
「全くだ」
と肯定した。
雪の道を倍の時間をかけて山形県総合運動公園に着くと将は公園の案内所に行き2週間後の警察でのイベントで利用する予約を入れていることを告げて
「それでイベントの準備のために先に中を見させてもらいたいんですけど……俺達二人で見るだけなので何かしていても大丈夫なのでお願いします」
と警察手帳を見せた。
管理スタッフはあっさり
「いやぁ、この時期は交通の便も悪いので利用者はあまりいないんですよ。大きなイベントもないオフシーズンですからね」
と笑って言うと
「どうぞどうぞ」
と二人を屋内多目的コートと体育館へと案内してくれた。
先に屋内多目的コートへと行き、軽い更衣室などの構造の説明を受け、その後体育館でも同じように説明を受けてその後に鍵を受け取った。
スタッフの男性は
「じゃあ、ごゆっくり」
と立ち去ったのである。
将は先に屋内多目的コートへと翼と向かい中を見回して
「まあ適当に座らせればいいだけだからな」
と告げた。
翼は頷き
「テントとか必要ないから一番は携帯やスマートウォッチによる外部との通信の遮断装置とかの設置が主だな」
と聞いた。
だがジャミング装置という手はあるが、いざという時に自分たちが危険な状態になった時に外と連絡が取れなくなるのは困る。
将はあっさりと
「う~ん、禁止と言っておいてやりたい奴にはさせるか」
と告げた。
翼は驚いて
「え!?」
と目を向けた。
将は冷静に笑みを浮かべ
「普通は禁止されたらしないだろ? それを押してもしようっていうことは十二分に狼の素養アリだ」
と告げた。
「やらせて捕まえればいい」
逆転の発想である。翼は「まさに肉を切らせて骨を断つだな」と言い
「それで? ポケットの中でされると分からないぜ」
と告げた。
将は頷くと
「防犯カメラは付ける。それと電磁波測定をしてログをとる」
と答えた。
「確か、通話すると電磁波が跳ね上がるからわかる。これは極秘で俺とお前だけの秘密だ」
翼は目を開けたまま将をじっと見つめた。
「……そんな方法があったのか」
将は頷いて
「まあ、完璧とは言わないけど……画像とログである程度の目安にはなるだろ? カメラの位置と座らせる位置だけ考慮すればいい」
と冷静に答えた。
二人がそんな話をしているとき省吾と由衣は山形県警本部の会議室に閉じ込められていた。長机が4つあるだけの他には何もない部屋である。




