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警狼ゲームのはじまり 8

 桐谷世羅は立ち上がり

「行くぞ」

 とテントを出た。


 将は呆然としたものの

「ん? クビにしないってどういうことだ?? じゃあ何であんなことを言ったんだ? この林間合宿の意味は何なんだ?? 訳が分からない」

 と呟きつつテントを出た。


 桐谷世羅はテントから出てきた面々を見ると

「夜が明けて、占い師だった東大路の遺体が村の外れで発見された」

 と告げた。


 全員が将に目を向けた。


 桐谷世羅は冷静に

「大谷と東大路は牢屋行きだ。二人ともそれぞれのテントの中で待機しとけ」

 と告げた。


 将はチラリと天童翼を見てテントの中へと戻った。


 外では将が撒いた種が効いたようで花村満也が

「狼は根津か」

 と告げた。


 天童翼はう~んと考えながら

「けどさ、東大路がそう考えただけで占い師として答えを言ったわけじゃないだろ? 本当に信用していいのか? 狼なら大谷を庇うけど根津って庇っている雰囲気なかったけど」

 と告げた。


 それに海野邦男が腰に手を当てて

「いやいや、東大路は冷静に根津には狼と分かる何かを見つけたみたいなことを言っていた」

 と告げた。


 根津省吾は肩を落とした状態であった。もう覆すのは難しいと考えていたのである。


 富山春陽もチラリと根津省吾を一瞥し

「まあ、東大路ってこれまで殆ど喋ったことなかったけどあれだけ理路整然と言われたら納得しかないだろ? 大谷には思わず両手を合わせたし、あの東大路が『理由がある』って言ったんなら……あるんだろうなぁと俺は思う。これはもう狼組に両手を合わせるしかないよなぁ」

 と告げた。


 全員が苦い笑みを浮かべて頷いた。


 花村満也は冷静に

「たださぁ、騎士がいないと占い師って絶対に翌日やられるよな? 今回みたいに……だから通常は占い師を守るために騎士を入れるんだけどさ」

 と告げた。

「騎士入ってなかったのか?」


 仙石真美也が考えながら

「確かにな」

 と全員を見回した。

「教官たちの設定ミスか?」


 それに桐谷世羅と多々倉聖は顔には出さなかったが同時に

「「おいおいおい、俺たちのせいかよ!」」

 と突っ込んだ。


 桐谷世羅はチラリと視線を動かした。

 騎士はいる。

 だが守らなかったのだ。


 騎士の守るべきものが違ったからである。

 それは想定通りであった。


 桐谷世羅は携帯が震えるのにポケットから取り出し

「よし、輪になって座れ」

 と告げた。


 残りの全員が座り多々倉聖から受け取った紙に二人以外全員が『根津』と書いた。


 桐谷世羅はそれを見て

「やっぱりな」

 と言い、多々倉聖を見ると

「多々倉、大谷と東大路を連れてこい」

 と告げた。

「処刑されたのは根津だ。狼だ」


 根津省吾は立ち上がり

「やられちゃったなぁ」

 と呟いた。

「東大路って凄いね」


 桐谷世羅は根津省吾を見ると

「根津もこっちだ。牢屋メンバーだからな」

 と告げた。


 将はゲームがあっさり終わったことに気付かず座って待っていたが多々倉聖が姿を見せると顔を向けた。


 多々倉聖は将に

「ゲームが終わったので出なさい」

 と告げた。

「直ぐに根津の横に立ちなさい」


 将は立ち上がると走って根津省吾の横に走った。

 その横に後から呼ばれた大谷大地も立った。


 桐谷世羅は三人の前に立ち

「で、最初に俺は言ったな。狼と村人にキーワードを渡したと推理していっても良いし、諦めても良い」

 と告げた。

「左端の根津から」


 根津省吾は少し考えながら

「……狼がingだったので……多分○○ingじゃないかと思うのでcuttingじゃないかと」

 と告げた。


 桐谷世羅は頷いて

「なるほど」

 と告げた。

「じゃあ、大谷は?」


 大谷大地は迷いながら

「え!? 確かにingだけど……色々あるし……根津はcuttingにしたんだろ? えー、じゃあ、俺はRowling?」

 と告げた。


 全員がじっと見た。

 全員が俺のじゃない、という視線である。


 正に当てずっぽうである。と、大谷大地は頭を下げると

「いや、すみません。わかりません」

 と告げた。


 誰もが苦笑した。

 が、将は笑えなかった。


 そう、一日目に天童翼と根津省吾を見て気付いたのだ。それで根津省吾が狼だと気付いたのだ。

 自分が村人だったからこそ根津省吾が狼だと分かったのだ。


 根津省吾が俯いて両手を組んで親指を弾いていた理由。

 天童翼が腕を組んで指先を動かしていた理由。


 その意味が将の中でちゃんと今答えとして現れたのだ。

 だからこそ足元からひんやりとした冷たい何かが立ち昇り将を取り巻いた。


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