愛知県警のケイドロ 4
静寂が広がると更に話を続けた。
「泥棒の逮捕は手錠をかけた時点で逮捕になる。牢屋への連行中に救出は出来ない。泥棒は抵抗しても良い。互いに体術訓練と思って対峙するように。牢屋に関しては何処を牢屋にするかは警察が極秘で決めるように、それだけ警察チームの勝率は上がる。出来るだけ泥棒チームに分からないようにしろ。また、泥棒チームは助ける場合は警察チームの誰かが手にしている鍵を手に入れて開ける必要がある。それ以外の方法で牢屋から出すことはできない」
全員が目を見開いて息を呑み込んだ。そんなルールでケイドロをした覚えなど誰一人いない。
泥棒にしても警察にしてもかなり厳しい条件である。
つまりクビになる可能性が高いと言いうことだ。
新人警察官たちの様子を翼はじっと息を殺して見つめていた。
将は最後に
「警察は青いベストで泥棒は緑のベストだ。同数の38名いる。10時に開始するので作戦を練って行動しないと生き残れないぞ」
と笑みを浮かべた。
全員が同じベストの人間を視認した。
作られた人工島で警察官としての生き残りをかけたケイドロゲームが開始されるのである。
将は静かに携帯の時計を見ると視線を上げて参加者を見つめた。
「あと14分後だが10時のサイレンが鳴れば行動を始めるように」
……では、ケイドロゲームを開始する……
そう、重々しい声で宣言した。