大阪府警のサバイバル 17
将と翼は船でひたすら動きを見ていた省吾から情報を聞きながら他に不正者がいないかを見て回った。
恐らく先の騒ぎを見ていたモノもいただろう。
だが誰もが傾きかけたが心を立て直して懸命にサバイバルゲームを行っているのだ。
船が元の場所に戻り5時を知らせるサイレンを響かせた。
全員が二つの島の間にある砂地に集まった。
将は集まった面々を見ると
「これから成績を発表する」
と告げた。
全員が将を見た。
将は全員の視線を見つめ
「が、その前に重要な話をする」
と言い
「先ほどの騒ぎを見たものは気になっていると思うので報告する」
と告げた。
「藤原美也子は警察とは違う組織に所属しており本物の八重塚悟の殺人に関与した疑いで逮捕した。例え彼女に殺害までの意志がなかったとしても……そうなる事を敢えて目をつぶったということだ。それは殺人と同罪だ。そして、それをさせた組織は上層部の利益の為だけに彼らや彼女たちを利用するだけして役に立たなくなったら切り捨てるそう言う組織だった」
全員が騒めいた。
翼も驚いて将を見た。
将は冷静に
「私語は慎め」
と静かな声で告げた。
怒鳴るでもなく怒るでもない声だったが強い強制力があった。
全員が静まり返った。
将は息を吐き出し
「警察は人間の最後の良心でなければならない……俺は未熟ものだしみんなと同じ警察官になったばかりだが、そうでありたいと思っている」
と告げた。
「ここにいる誰もが同じ気持ちだと信じている」
……そんな良心の盾が人の命を一部の人間の為だけに同じ組織の人間すらも踏みつけにする組織に乗っ取られたらこの国は、この社会は崩壊する……
「俺たちはそういう組織やそう言う人間を法にのっとって取り締まる側でなければならない」
全員が息を飲み込んだ。
菱谷由衣は立ち上がると敬礼して
「私もそうありたいと思います!!」
と告げた。
「警察が良心と正義を失えば国は終わりです!」
将は笑むと
「常に! 常に問え!! 己が警察官として恥じない行動をしているのかと! 正義を貫けているのかと!」
と告げた。
「色々心配もあると思うが今ここにいて最後までやり抜いた全員がその志を持った仲間だ。だから何かあったら相談し誰一人この先の長い警察人生から転落することなく進んでいくことを祈る!」
全員が立ち上がると敬礼した。
将は笑って
「それで、結果だが……ちゃんと結果は出ているからな」
と付け加えて全員が顔を見合わせて苦笑した。
一位は34番の菱谷由衣。
二位は12番の石原和則。
三位は4番の清水健吾。
チームでは青チームの勝利であった。
将は発表すると
「照射0の人間はいなかったしサボっている人間もいなかったのでこの調子で頑張ってもらいたい」
と告げた。
全員クビではないということである。
全員が安堵の息を吐き出して顔を見合わせた。
桐谷世羅は遠野秋日が下船時に渡した一枚の名刺を見つめていた。
「酒家美咲という女に気を付けてください」
そう告げたのだ。
そして、遠野秋日は八重塚圭と共に兵庫県警本部長の長柄秀二郎に知っている全てを話した。
その後、釈放された二人は姿を消した。