大阪府警のサバイバル 9
木の枝は緑の屋根を作って地上に影を落とし、足元に茂る草木が視界を遮る。だがザザザッと動く足音と揺れ動く草の波で青チームか赤チームかは分からないものの人がいることだけは理解できる。
それでも八重塚悟の動きは止まってはいない。
将は木々の波間を走る八重塚悟を見失わないように並走しながら
「まあ……ある程度身を隠しているみたいだが勝つためでも生き残るためでもないことは分かる」
と呟いた。
ただもう一つその探しモノが『青チーム』にあることも理解できた。一直線に青チームの陣地へと向かっているからである。
「青チームと言うと注視している34の菱谷由衣と122の藤原美也子がいるが……彼女たちと合流するためか?」
互いに協力して勝つために合流するということなのだろうか? と将は考えた。
だとすれば、八重塚悟は黒である。
しかし、と将は目を細めた。
「だったら、せめて攻撃しながら移動はするだろ」
そう、生き残るために、勝つために、の行動ならせめて身を隠し青チームの人間を攻撃しながらポイントを稼ぎつつ行動するはずである。
だが、それをしていないのだ。
将の目には純粋に『何かを探している』ように映っていたのである。
木々はざわめき、あちらこちらでレーザー銃による照射音と撃たれた時の音が梢に交じって響いていた。