大阪府警のサバイバル 6
翼は将の横に立つと
「34番、98番」
と告げた。
将は目を見開いて翼を見た。
翼は笑むと
「気付かなかったか? あの二人の目は他の奴等とは眼力が違っていた」
と告げた。
将は笑むと
「俺には全く分からなかった」
と肩を竦めて服に付けていたマイクに
「122番に34番と98番をマーク。欠番の27番について何かわかりましたか?」
と聞いた。
それに船でモニターを見ていた桐谷世羅が
「欠席している27番の佐藤雅樹に関しては今大阪府警の方で調べている。報告待ちだ」
と答えた。
「青の122番の藤原美也子と34番の菱谷由衣に赤の98番の八重塚悟か。動きに異常があれば位置情報を送るので頼む」
将と翼は頷いた。
「「はい」」
その時、翼が将の肩を押して顎を動かした。
海上の方に、である。
停泊する海上警察の船の向こう側に一艘の小型船が同じように停泊しているのが目に入った。
将は冷静に
「まさか、向こうの組織の」
と呟いた。
翼は目を細めて
「わからない。俺ら下っ端が分かっていたのは本当に直属の指示出しと連絡係だけだったからな」
と告げた。
「ただ何故かわかるんだよな」
……闇は闇を知る……
「空気があるんだ」
将はそれに翼を見て、恐らく自分には分からない嗅覚があるのだろうと感じたのである。
海風が流れ怪しく木々が騒めいた。
そして、10時を知らせるサイレンが船上から鳴り響いた。
警狼サバイバルゲームの始まりであった。