大阪府警のサバイバル 2
将がこの件で呼び出されたのは一週間前の9月初め。
警察学校卒業後に上司となる桐谷世羅から声が掛かり警察庁へと出向いた。
勿論、まだ警察学校を卒業してはいない。
特別の呼び出しである。
将は入館のセキュリティチェックを受けて16階の会議室へ案内されると先に待機していた天童翼と根津省吾と落ち合った。
二人は前回の人狼ゲームで闇組織の組織員であることが分かり、その組織の情報提供と引き換えに身柄の安全と今後の仕事のことも考え警察学校ではなく現在は桐谷世羅の下で活動している。
この時点で将は何をするために呼び出されたのかを聞いてはいない。何の呼び出しだろう? という状態である。
将は先に聞いているだろう天童翼の隣の椅子を引き
「なあ、天童。何するか聞いてる?」
と座りながら問いかけた。
翼はチラリと将を見ると笑みを浮かべて
「ああ、先に聞いている。大阪府警の警察学校の新人警察官だそうだ」
第二弾な、と応えた。
「俺も省吾も組織のことは東京以外全くわからなかったが……やはり警察も組織だな。どこからか情報が入るみたいだ。大阪府警にも俺たちの同じように新人警察官として組織の人間が侵入しているのが分かったらしい」
将は肩を軽く動かすと
「なるほど、そうなんだ」
と答え
「俺は組織とか全然わからないけど……知っていく必要があるな」
と考えながら呟いた。
考えればこれは組織同士の食いあいである。桐谷世羅の部下になるということは複雑な組織対組織の人間の流動を俯瞰してみる力が必要になるということである。
ゲームで言えばウォーゲームシミュレーションとかタクティクス系になるだろう。