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大阪府警のサバイバル 1
残暑は厳しかった。
8月が終わり9月になっても35度越えの真夏日が続き、偶に1、2度低い日があるという2年ほど前には想定も出来ない夏であった。
東大路将は大阪府警の新人警察官121名を前に瀬戸内海を流れる風を身に纏わらせながら頬を伝う汗を拭いもせずに静かな笑みを浮かべていた。
小豆島と淡路島、そして、姫路とで作られるトライアングルの中心にある家島諸島の一つ太島が今回の特別林間合宿の舞台である。
頭上には照り付ける太陽。風は流れているが熱風に近い。
周囲では陽光を受けて輝く青い海が自然の結界を作っていた。
その中で将は天童翼と共に二つの小高い山で成り立つ太島の中央にある砂地で全員を見つめて唇を開いた。
「この島でこれから5時間。君たちにはサバイバルゲームをしてもらう」
あの日……警狼ゲームが初めて行われた日の自分たちと同じように大阪府警新人警察官全員が驚いたように横の人間と顔を見合わせた。
これが第二回目の警狼ゲームの始まりであった。