新潟県警の狼 8
同じ頃、将はベッドの上で息を吐き出していた。一か月ほどは入院ということで退院後も激しい運動は暫くNGと言うことである。
勿論、今の仕事はそれほど激しくはないので、勤務することは可能だろう。だが、問題は『今』だ。
「後一週間か……退屈だ」
その時、戸が開いて翼が姿を見せた。
「よう、本当に暇そうな顔をしているな」
将は顔を向けると
「おお、新潟県警の方はどうだったんだ?」
と聞いた。
翼は頷くと
「ああ、どうやら学校の教官が怪しいらしい。それと警務部の人間がな」
と告げて、今回選抜した9人の身上書を出した。
「これは俺が拾い出した今回のメンバーだ。」
……案を貰ったんだが今回は慣れている人狼で行こうと思ってる……
将は気にした様子もなく
「そうか、じゃあ。俺が復活したらしようぜ」
大切なことは新人の中の狼を見つけることだからな、と答え、身上書を見ながら
「なるほど、こいつとこいつに天童は目をつけたってことか」
と二枚引き抜いて渡した。
「一人は親が公の仕事でもう一人は……自営業なのに家を継いでいない感じだな」
翼は目を見開き
「よくわかったな」
と告げた。
将は笑って
「まあ、この前話を聞いてたからな」
と応え
「それで役割はどういう形で行くつもりなんだ?」
と聞いた。
翼は計画書を見せた。
「狼2に騎士1占い師1で行こうかと思ってる」
と告げた。
将は頷いて
「なるほどな」
と言い、少し考えると
「教官がおかしいって事なら、教官を嵌めるのも良いんじゃないか?」
と告げた。
翼は「え?」と聞き返した。
将は笑むと
「教官に先に配役を渡すんだ」
と言い
「その反応をみても良いと思うけど」
と告げた。
「きっと自分に都合が悪そうなら何か言ってきそうな気がする」
翼は驚きながら
「あ、ああ」
と応え俯くと暫く沈黙を守った。
将は何時にない歯切れの悪い翼に
「どうかしたのか? 天童」
と聞いた。
翼は息を吐き出すと
「いや、俺がお前のように……できるのかって思ってな」
と苦く笑みを浮かべた。
自分と東大路将は違うのだ。自分が彼のように相手を見抜き、屈服させ、そして、他の新人警察官を鼓舞できるのかどうか。そう考えた時に出る答えが『No』なのだ。




